T-岡田の「ずっと付き合っていく人」 苦楽をともに…盟友・安達への深すぎる“愛”

オリックス・安達了一(左)とT-岡田【写真:荒川祐史】
オリックス・安達了一(左)とT-岡田【写真:荒川祐史】

オリックス・T-岡田「僕は練習しないと、体が動かない」

 難病とも闘う「友」と歩んできた。オリックスのT-岡田外野手は、安達了一内野手とともに、来季野手最年長となる36歳を迎える。2010年に本塁打王を獲得した和製大砲は、ベテランの域に入り「若い選手も多いチームになってきた。僕も安達も、まだまだ負けていられません」と分厚い腕を組む。

 2005年の高校生ドラフト1巡目でオリックスに入団した「なにわのゴジラ」は来季でプロ19年目を迎える。「18歳でプロに入って、人生の半分以上がプロ野球生活。年齢を感じる瞬間は、正直ありますね。安達を見ていても、ここ数年、動けてないなぁと思う瞬間はありますよ。ずっと(昔から)見ているので。安達から見た僕もそうだと思いますね」と胸中を吐露する。

 35歳の今季は20試合の出場にとどまり、打率.179、0本塁打、4打点の成績だった。思うような結果が出なくても、必死にバットを振り続ける姿があった。大阪・舞洲では、10歳以上も自分より若い選手らと一緒に汗を流す。切磋琢磨する同学年の安達からは「練習し過ぎだって。だから、怪我するんだよ」と“忠告”を受けたこともあるが「僕は練習しないと、体が動かない」と言い聞かせてきた。

 腹を割って話せるから、会話の熱が帯びる。「安達とは、食事に行っても野球の話しかしないんですよね。僕は小学、中学、高校を出てからプロでプレーしましたけど(学生時代から)今でも付き合いのある友達って、ほとんどいないんです。(ドラフト同期の柴田)亮輔くらいですね。僕らの頃って、携帯とかなかった時代でしたからね。野球漬けの毎日で、同窓会とかもあんまり行けなかったですから」。だからこそ、貴重な存在なのだという。

T-岡田にとって安達は「ずっと付き合っていく人なのかな」

「安達は、ずっと付き合っていく人なのかなと。それが親友というのかどうか、僕はわからないですけど。そんな感じはしていますね。向こうがどう思っているかはわからないですけど(笑)」

 そんな安達は今でも難病と闘いながらプレーしている。2016年1月、日本の厚生労働省が指定する難病の一種である「潰瘍性大腸炎」を患い、緊急入院した。一報を聞いたT-岡田は「正直、野球できないなと思いました。最初に本人から病名を聞いたときですね。まず、何なのかがわからなかった。(退院後も)体がカリカリになっていたので、怖いなぁと」。グラウンドに戻ってきた戦友を見て、目が潤んだ。

「あいつの執念というか、強さは、もしかしたらそこにあるかもしれない。もう、野球ができないかもしれないという瀬戸際までいっているから。プレーできないかもしれないと。口では言えるけど、そこまでの経験している人はあんまりいないと思います」

 目尻を下げながらも、瞳の奥に闘志を燃やした。

(真柴健 / Ken Mashiba)

○著者プロフィール
真柴健(ましば・けん)1994年、大阪府生まれ。京都産業大学卒業後の2017年、日刊スポーツ新聞社に入社。3年間の阪神担当を経て、2020年からオリックス担当。オリックス勝利の瞬間、爆速で「おりほーツイート」するのが、ちまたで話題に。担当3年間で最下位、リーグ優勝、悲願の日本一を見届け、新聞記者を卒業。2023年2月からFull-Count編集部へ。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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