イチロー氏攻略の裏に“大谷翔平” 「見たことなかった」138キロに対応できたワケ

イチロー氏から三塁打を放った花巻東・末木希依【写真:中戸川知世】
イチロー氏から三塁打を放った花巻東・末木希依【写真:中戸川知世】

花巻東の末木はイチロー氏の最速138キロを右翼線三塁打「粘っていこうと」

「高校野球女子選抜」vs「イチロー選抜 KOBE CHIBEN」は21日に東京ドームで行われ、イチロー氏(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)は116球で完封勝利を挙げた。今年10月に50歳になったレジェンドは最速138キロを4球を投げたが、その球を見事に打ち返したのが、花巻東高の末木希依外野手だ。「5番・左翼」で先発出場し、2回1死の第1打席でチーム初安打となる右翼線三塁打を放った。

 初球から136キロ、137キロ、138キロ。女子高生にとっては、異次元の球速だった。バットを短く持ち、足のステップも小さく取ってミート打撃に徹した。4球目の外角高め138キロを右翼線へ。右翼手が後逸する間に三塁まで進んだ。「今まで見たことなかったです。追い込まれていたので粘ってついていこうと。フルスイングするよりミートを意識して打ちました」と声を弾ませた。

 花巻東高の女子硬式野球部は2020年4月に創部。同校のOB、大谷翔平投手(エンゼルスFA)から打撃マシンを贈られた。「目的に応じて、真っ直ぐだったり、変化球に変えて練習してます。(マシンの球速は)120キロ出るか、出ないかぐらいで練習してます」。イチロー氏の球速は練習以上の速さ。それでも対応できたのは、大谷マシンで振り込んできた成果の表れだろう。大谷については、「誰もが目標とする選手。大谷選手はそれに満足することはなく、それ以上を目指しているから、いい結果が生まれてくるのかなと思います」と目を輝かせた。

 高校通算140本塁打の佐々木麟太郎内野手とは同級生だ。高校野球女子選抜のメンバー入り後、スラッガーの打撃練習を目の当たりにしたという。「(佐々木と)話をしたことはないんですけど、(打撃は)やっぱり迫力がすごくて。すごいという言葉しか出ない。規格外でした」。佐々木の父で、男子硬式野球部の佐々木洋監督からもゲキが飛ばされていた。「『結果を残して頑張ってこい』と言われていたので。結果が出て良かったです」と表情を緩めた。

 山梨県出身で花巻東高では寮生活。高校卒業後も野球を続ける意向だ。「大学で4年間やって、もっと高いレベルでやりたいです」。イチロー氏の最速138キロを打った女子高生は前を向いていた。

(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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