出会いは10年前「あのままいたら…」 トレードで運命変わった“2人の石川”

ロッテ・石川慎吾(左)とオリックス・石川亮【写真:小林靖】
ロッテ・石川慎吾(左)とオリックス・石川亮【写真:小林靖】

オリックス・石川亮が「ちょっと厄介だな…」と感じたロッテ・石川慎吾

 新天地で躍動する“同姓”の先輩に元気をもらった。オリックスの石川亮捕手は、昨オフに日本ハムからトレードで加入し、3連覇に貢献した。ふうっと息を吐き「僕はあのまま日本ハムにいたら、もしかしたら今頃はユニホームを着れていないかもしれないですね」と、必要としてくれた移籍先に感謝の言葉を忘れなかった。

 新しいユニホームに慣れてきた7月上旬、届いた一報に驚きを隠せなかった。「慎吾さんがロッテに決まった時、『ちょっと厄介だな……』と思いました。敵として見て、冷静に、です」。日本ハム在籍時の先輩でもある石川慎吾外野手が巨人からロッテへトレードされた。

 再び同じパ・リーグで戦うことになり“2人の石川”は、試合前練習中のグラウンドで話す機会が増えた。「お互い移籍したばかりですけど、周りのみんながやりやすい環境にしてくれていると感謝することが多かったですね」。笑顔の理由は“転校生”を受け入れてくれる仲間にあった。

 ロッテに移籍した石川慎は今季44試合に出場して打率.348、2本塁打、10打点の成績を残した。石川は2学年上の先輩の躍動に「慎吾さんは元々、実力のあった選手。だから、絶対に結果を残すのはわかっていました」と深くうなづいた。

思い出す日本ハム時代の原点…2人が生きる“新しい居場所”

「日本ハムの頃から、慎吾さんは打撃がめちゃくちゃ良かったので(出番が少なく)もったいないなと。(戦力豊富な)ジャイアンツだから試合に出られていない部分があったと思うんです。絶対、環境が変わったら間違いなく活躍すると思っていた。よりマッチした球団で活躍されているのはプラスだと思うし、僕もうれしい気持ちになりました」

 思い返すのはプロ野球生活の“原点”だった。石川は2013年にドラフト8位で帝京高から日本ハムに入団。新人の頃から2学年上の石川慎には「すごくかわいがってもらっていたので……。お世話になりまくりでした」と頬を赤らめる。

「慎吾さん、松本剛さん、近藤健介さん、上沢さん……。僕は、あの世代の方々にすごくお世話になったので。僕がプロ1年目の時にみなさんが高卒3年目で。本当にいろんなことを教えてもらった。あの時に学んだことが基礎になっているので。みんな、むちゃくちゃ練習するんです。これぐらいやらないとダメだよな……と教わったのを覚えています」

 懐かしいスタート地点を思い出しながらも、互いに確立した“新しい居場所”で根強く生き抜く。

○著者プロフィール
真柴健(ましば・けん)1994年、大阪府生まれ。京都産業大学卒業後の2017年、日刊スポーツ新聞社に入社。3年間の阪神担当を経て、2020年からオリックス担当。オリックス勝利の瞬間、爆速で「おりほーツイート」するのが、ちまたで話題に。担当3年間で最下位、リーグ優勝、悲願の日本一を見届け、新聞記者を卒業。2023年2月からFull-Count編集部へ。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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