兄貴分の森友哉から「なんでなん!?」 謙遜から1年…背番号を継承する佐藤龍世の誓い

契約更改交渉に臨んだ西武・佐藤龍世【写真:湯浅大】
契約更改交渉に臨んだ西武・佐藤龍世【写真:湯浅大】

キャリアハイの成績で背番号「58」から変更「まさかそうなる時が来るとは」

 西武・佐藤龍世内野手は11月28日の契約更改後の記者会見で、来季から背番号「10」を付けることを発表した。「この場を借りて言いますけど、背番号が変わります。兄さんの番号です」。昨年オフに国内フリーエージェント(FA)権を行使してオリックスに移籍した森友哉捕手の番号だ。

 オフの自主トレを共にするなど兄のように慕う存在で、契約更改より少し早い時期に「58」からの変更を伝えられると、その日のうちに連絡した。「『なんでなん!?』と言われましたけど、嬉しそうでしたね」。2021年8月に西武から日本ハムにトレードとなり2022年オフに再び西武に戻った際に森から「お前10を付けろよ」と言われたが「そんないい番号は貰えないですよ」と答えたという。それだけに「まさかそうなる時が来るとは思っていなかったですね」。ユニホームへ袖を通す日を「楽しみです」と心待ちにしている。

 堂々の10継承だ。5年目の今季はキャリアハイの91試合に出場し打率.263、3本塁打、16打点。チーム3位の42四球で出塁率.390をマークするなど「嫌らしい打者」に成長した。それでいて渡辺GMをして「超積極的な打者」という。ファーストストライクからガンガン打ちに行きつつ、ボール球はしっかり見極める。佐藤龍自身も「いいところは継続していきたい。相手投手に球数を投げさせることはできた。でも1球で長打、ホームランを打てるようには頑張りたい。どっちも頑張りたい」とストロングポイントに磨きをかける。

 年明けの自主トレには例年通り、沖縄で森と汗を流す。「今年、敵として真剣勝負してもらった。僕の弱点をわかっていると思う。そこを合わせて、もっと長所を伸ばせたら」。捕手目線からの情報を収集し、ウイークポイントを潰すことも忘れない。目指すのは三塁のレギュラー奪取だ。渡辺GMも「(背番号10で)モチベーションは上がるだろうなと。もう1ランク頑張ってくれるのでは。そういう期待はあります。ライバルもいるし競って獲ってほしい。レギュラーの番号なので」と奮起を促した。

「10」は森、阿部(巨人)のイメージ…球団では高木大成、佐藤友亮ら

「10をもらうからにはベンチにいるんじゃなくて、グラウンドでプレーして、色々な人に見てもらいたい。そうなれるように結果残したい」。佐藤龍も同じ思いを抱えている。野球界の10で連想するのは阿部慎之助(現巨人監督)や森だという。「僕の中ではキャッチャーのイメージが強いですね。強打者のイメージ。試合で自分らしさを前面に出して、西武の10は佐藤と言われるように頑張りたい」。球団では羽生田忠之、高木大成、佐藤友亮らも背負った番号だ。

 このオフは例年以上に球団施設に顔を出し、マシン打撃などで練習している。「10に恥じない成績を残さないといけないという気持ちになっている。いい取り組みができていると思います。毎年、勝負と言っていますが、来年が僕にとって1番の勝負の年になる」。期待と重圧を背負い、辰年の2024年に佐藤龍がスターへの階段を駆け昇る。

○著者プロフィール
湯浅大(ゆあさ・だい)
東京都生まれ。成城高、法大を経て1997年に産経新聞社に入社。サンケイスポーツでサッカー、芸能、野球を担当。主にMLB、DeNA、西武などを取材した。2023年11月からFull-Count編集部に所属。

(湯浅大 / Dai Yuasa)

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