期待の大砲候補が覚醒 新加入の“捕手コンビ”が存在感…若手光った日ハム野手陣

日本ハム・万波中正【写真:矢口亨】
日本ハム・万波中正【写真:矢口亨】

万波は25本塁打の活躍…本塁打王にあと1本だった

 エスコンフィールド初年度、日本ハムは60勝82敗1分、勝率.423で2年連続の最下位に終わった。投手陣が健闘した一方で、チーム打率.231(リーグ6位)、本塁打数100(4位タイ)、得点数464(5位)と野手は苦難の1年に。昨季(打率.234、100本塁打、463得点)と比べても、数字は横ばいだった。四球数は2022年の352から、397と多少改善が見られた。しかし、守備では94失策と、12球団で唯一の90個以上を記録。ディフェンスでは大きな課題が残った。

 最も存在感を放ったのが万波中正外野手。昨季は100試合で14本塁打を記録し、今季は141試合に出場。5月は打率.267、7本塁打15打点で自身初の月間MVPに輝き、交流戦で打率.328、4本塁打を記録するなど、前半終了時で15本塁打をマークした。選手間投票で自身初の球宴出場を果たし、史上23人目となる2試合連続本塁打を放ち、第2戦のMVPを受賞した。

 7月は月間1本塁打も、打率.337の好成績を記録。8月に5本塁打を放ち、タイトルを射程圏内にとらえると、新庄剛志監督も1番打者として起用するなど、後押しした。結果は25本塁打。1本差でタイトルには届かなかったが、自身初のベストナイン、ゴールデン・グラブ賞を受賞。昨季打率.203から.265と躍進の1年を送った。

 エスコンフィールド移転後のチーム初本塁打は、野村佑希内野手が放った。昨季は故障の影響で93試合出場にとどまったが、今季は自己最多の125試合に出場。4月14日にエスコンフィールドでのチーム第1号を放つと、前半戦で8本塁打をマークした。打率は伸び悩み、7月は月間1割台に。7月14日に登録を抹消されたが、同28日に1軍へ復帰すると、8月は打率.301、4本塁打の成績を残した。最終的には自身初の規定打席に到達。打率.236、13本塁打で5年目を終えた。

 松本剛外野手は、万波に次ぐ134試合に出場。2022年に打率.347で首位打者に輝いた巧打は今季も健在だった。5月末時点で打率.293。交流戦は打率.222だったが、7月は月間打率.325を記録。8月に再び不振も、9月は打率.329と盛り返し、最終的にはリーグ5位の打率.276。自己最多の134試合出場と、若手中心の打線の中で存在感を示した。

 中日から移籍した2人の捕手が、大きなインパクトを残した。来日6年目のアリエル・マルティネスは開幕から出場を重ね、119試合で打率.246、15本塁打66打点。自身初の規定打席に到達した。主に一塁手としての出場だったが、捕手としても伏見寅威の88試合に次ぐ、チーム2位タイの31試合で守備に就いた。6月に移籍してきた郡司裕也は7月にプロ初本塁打を放つなど、打率.311の好成績。主に指名打者、一塁手として出場し、55試合、打率.254、3本塁打と、キャリアハイのシーズンを送った。

日本ハム・清宮幸太郎【写真:荒川祐史】
日本ハム・清宮幸太郎【写真:荒川祐史】

清宮は故障離脱もあり99試合で10発、MLB帰りの加藤豪は62試合で打率.210

 清宮幸太郎内野手は4月1日にサヨナラ打を放ち、エスコンフィールドでのチーム初勝利を呼び込んだ。4月20日時点で打率.288、1本塁打9打点、得点圏打率.583と好調な滑り出しも、左腹斜筋筋損傷により同22日に登録を抹消された。6月半ばに1軍復帰、7・8月に計8本塁打を記録したが、9月は打率1割台と苦しみ、99試合で打率.244、10本塁打、41打点に終わった。

 4月末時点で打率.218と不振だった五十幡亮汰外野手は、5月5試合で打率.471と状態を上げた矢先、左太もも裏の肉離れで登録抹消。7月に1軍復帰するも状態は上がらず、9月半ばに再び故障で戦列を離れた。70試合で打率.228、キャリアハイの17盗塁という成績も、怪我に泣くシーズンだった。

 上川畑大悟内野手は遊撃手としてチーム最多の81試合に出場。二塁手としても同3位の26試合に出場した。前半終了時点で打率.193も、8月は月間打率.322をマーク。しかし、9月は8試合で打率.059。登録抹消されてシーズンを終えた。108試合出場で、打撃成績は軒並みダウン。課題が残る1年を送った。

 ドラフト5位ルーキーの奈良間大己内野手開幕を2軍で迎えたが、打率.385を残し、4月11日に1軍デビュー。7月末に3度目の昇格を勝ち取った。その後は抹消されることはなく、65試合で打率.243、2本塁打15打点の成績を残した。MLB帰りのオールドルーキー、加藤豪将内野手は故障で出遅れた。5月下旬に1軍登録され、31日に2打席連続本塁打を。6月は21試合で打率.268と一定の成績を残したが、最終的には62試合で打率.210、6本塁打16打点の成績だった。

「二刀流ルーキー」として話題を呼んだドラフト1位の矢澤宏太投手は、4月15試合で打率.244、1本塁打を記録。しかし5月は打率1割台と苦しみ、6月に左手小指と右膝の靭帯を損傷して抹消となった。8月に再登録されるも結果を残せず、シーズンの大半をファームで過ごした。投手ではリリーフで2試合に登板。2イニングで無失点だった。

 万波、野村がブレークした一方で、故障や不振に泣いた選手も多かった。終盤には細川凌平内野手、田宮裕涼捕手ら若手が存在感を示し、伏見、江越大賀外野手といったベテランも控えているだけに、期待値は高い。打撃成績を向上させて上位進出なるか。新庄剛志監督3年目、エスコンフィールド2年目のシーズンに期待が高まる。

(「パ・リーグ インサイト」東海林諒平)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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