鳴りを潜めた投手力 5年ぶりに“規定ゼロ”…3位に終わった鷹が直面する危機

ソフトバンク・有原航平(左)とロベルト・オスナ【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・有原航平(左)とロベルト・オスナ【写真:荒川祐史】

2023年のソフトバンク投手陣、チーム防御率3.27はリーグ4位

 3年ぶりのリーグ優勝奪還を目指すも、リーグ3位と悔しい結果に終わったソフトバンク。本記事では投手編、野手編に分けて2023シーズンを振り返っていく。投手陣では、先発が安定してイニングを稼げず、2018年以来5年ぶりに規定投球回到達者が不在となった。チーム防御率3.27はリーグ4位で、近年強みとしていた投手力が鳴りを潜めた。

 開幕前に課題として掲げていた与四球数は451個(リーグ5位)と、リーグワーストだった昨季の474個から少し改善は見られたものの、奪三振数が昨季の1176個(リーグ1位)から1068個(リーグ3位)に減少。四球禍からの脱却は道半ばといえそうだ。

 全体的に今季は先発陣が低調だったが、光ったのは有原航平投手の活躍だ。抜群の安定感を見せ、終わってみればチーム最多の10勝(5敗)。チームは球団初となる2桁勝利・規定投球回到達者なしという危機に瀕していただけに、その活躍ぶりはまさに救世主だった。和田毅投手は、今季も若手さながらの投球を見せつけた。7年ぶりのシーズン100投球回に到達。いまだ進化を続ける42歳に、来季も期待せずにはいられない。

 石川柊太投手は歯がゆい投球が続いたが、奪三振率は8.52と昨季(7.00)より良化している。東浜巨投手とともに、来季は安定感を取り戻したい。

力強さを見せた救援陣…オスナ、津森、松本らが好投

 苦しんだ先発陣に対して力強さを見せたのが救援陣だ。リバン・モイネロ投手が7月に離脱。それでも、ロッテから移籍したロベルト・オスナ投手が、49試合で防御率0.92、WHIPは驚異の0.69という数字を残すと、津森宥紀投手が56試合で22ホールド、松本裕樹投手が53試合で25ホールドといずれもキャリアハイを更新した。シーズン後半からは藤井皓哉投手も加わり、今季も中継ぎの頼もしさは健在だった。

 救援陣はほかにも、田浦文丸投手が自己最多を大幅に更新する45試合に登板したことに加えて、ルーキーの大津亮介投手も46試合で防御率2.43という成績。さらには甲斐野央投手も、ルーキーイヤーの2019年以来4年ぶりに40試合以上に登板するなど復活の兆しを見せた。勝ちパターン以外にもこれといった穴がないのは、さすがの層の厚さだ。

 今季のチーム内投球回トップ5のうち、4投手が30歳を超えており、来季も同じような活躍ができるとは限らない。先発として、シーズンを通して活躍できる20代の台頭が強く求められる。

 今季チームで3番目の104回2/3を投げ、2年連続で完封勝利を記録した大関友久投手や、プロ初勝利を挙げるなど頭角を現したカーター・スチュワート・ジュニア投手、ここ2年は中継ぎ・先発両方で起用されている板東湧梧投手らには、かかる期待も大きい。

 さらには今季貴重な支配下枠を勝ち取った木村光投手や、育成枠の投手、超高校級の前田悠伍投手をはじめとするルーキー勢など、まだ1軍登板のない投手のなかにも可能性を秘めた投手は多い。ローテーションの1枠を確固たるものにし、次代の柱となる投手は誰か。

(「パ・リーグ インサイト」武澤潤)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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