吉田輝星に太鼓判…移籍に「マイナスはない」 “同僚”石川亮が語る「激変」の可能性

オリックス・吉田輝星(左)と石川亮【写真:真柴健、小林靖】
オリックス・吉田輝星(左)と石川亮【写真:真柴健、小林靖】

オリックスに移籍した吉田輝星に石川亮が「めちゃくちゃチャンス」の助言

 新天地で、またバッテリーを組む。オリックスの石川亮捕手が、今オフに日本ハムからトレード移籍となった吉田輝星投手に熱烈エールを送った。2人は日本ハム時代もコンビを組んでおり、場所を変えての“再会”となる。

 マスクを被り18.44メートル先の吉田を見てきた石川は「輝星は間違いなくあんなもんじゃない」と断言する。一息つくと、目線を先に送った。「僕もそうだったかもしれないですけど、こういう移籍のタイミングってマイナスはないんです。全てがプラス。めちゃくちゃチャンスなんですよ」。自身は昨オフに日本ハムからオリックスにトレード移籍。ムードメーカーとして3連覇に大きく貢献した。

 ベンチ最前列で声を張り上げ、仲間を鼓舞し続けた2023年。「少しでもみんなのためになれるなら、僕は頑張りたいと思えるんです」。スタメン出場は3試合にとどまったが、ほとんどの試合で1軍ベンチのムードを作り、存在感を示した。

 チームが変わって1年目で、歓喜の胴上げにも参加した。クライマックスシリーズのファイナルステージではMVPを受賞した“ラオウ”こと杉本裕太郎外野手の「代役」として表彰式にも出席。杉本は負傷交代してしまった直後ではあったが、場内の空気を和ませてみせた。

 最善の準備が生きた。日本シリーズの第4戦(甲子園)では、同点の1死一塁と緊迫した場面で代打起用され、きっちりと犠打を決めた。森友哉捕手、若月健矢捕手と同学年の“3枚目”は、投手のイニング間のベンチ前キャッチボールを受ける際、フィールドに近い客席のファンに「見えますか? 大丈夫そうですか?」と気遣う一面も持つ。

プロの世界は「信念を持っている選手ばかり」

 そんな石川が11月末に、吉田のトレードを聞き感じたことがある。「チームが移った瞬間に激変できる可能性がある。そのタイミングが輝星にとっては、ここだと思う。絶対、野球人生のキーポイントになる。だから、大切な1年にしてほしい。もちろん、今までやってきたことも大事。そうじゃないものをプラスアルファで身につけられるチャンスなので」。力説は続く。

「良い機会にしてほしいですよね。同じチームにいるままだと、自分のイメージというものが周りから決められてしまう場合もあるので。プロの世界って、信念を持ってやっている選手ばかりなので、きっかけを作るのってすごく難しいことなんですよね。だから、プラスアルファを増やしていける1年になってくれればなと思っています」

 かつての同僚と、また同じ色のユニホームを纏う。「僕、個人としては、また一緒にプレーできるのは、すごく楽しみですね。輝星は凄く素直で良い選手ですし、オリックスに来ても大丈夫だと思う。僕が大丈夫だったんでね(笑)」。所属した2球団のファンが、今も2人の活躍を目で追う。

「応援してくれる人が多ければ、チームにとってプラスでしょうし、自分たちも心強い。オリックスのファンの方々も、すごく温かいので輝星のことも、僕のことも応援してくださると嬉しいです」

 肌寒い冬に感じる熱意が、そこにはあった。

〇真柴健(ましば・けん)1994年8月、大阪府生まれ。京都産業大学卒業後の2017年に日刊スポーツ新聞社へ入社。3年間の阪神担当を経て、2020年からオリックス担当。オリックス勝利の瞬間に「おりほーツイート」するのが、ちまたで話題に。担当3年間で最下位、リーグ優勝、悲願の日本一を見届け、新聞記者の卒業を決意。2023年2月からFull-Count編集部へ。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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