宇田川優希「本当に悔しかった」 日本Sで涙…直接伝えなかった山崎颯一郎への謝罪
オリックス・宇田川優希(左)と山崎颯一郎【写真:荒川祐史】オリックス・宇田川優希「自分の中では『抑えるしかない』と思って投げた」
ただただ、申し訳ない思いだけだった。オリックスの宇田川優希投手は11月2日に行われた阪神との日本シリーズ第5戦(甲子園)。1点リードの8回1死二、三塁。2番手の山崎颯一郎投手からピンチの場面でマウンドを託されたが、逆転を許してしまった。
救援失敗――。宇田川は、マウンドで頬を濡らした。「ピンチで、どうしても三振が欲しい場面になったら頼むよ」。第1戦から5試合連続でのベンチ入り。第3戦、第4戦で連投していた宇田川だったが、試合前に首脳陣から掛けられた言葉の意味は、十分に理解していた。
投手陣の負担を考え、酷使しない方向を固めて、極力3連投の起用を避けてきた中嶋聡監督。第4戦を落とし2勝2敗のタイになったことで、制限解除の方針が定まった。1点リードの8回1死二、三塁の場面はやってきた。
中嶋聡監督の期待に応え続けた1年
2人は同期入団ではないが、同学年で仲が良い。ともに勝ち継投を託され、悩みも共有し、ここまで切磋琢磨してきた。シーズン中、不調の自分に代わってリーグ3連覇に貢献した山崎。9月20日のロッテ戦(京セラドーム)では“胴上げ投手”にもなったが、コンディションが万全でない中で投げ抜いたことを知るだけに、山崎のためにも抑えなければならない場面だったのだ。
宇田川は失敗を直接、山崎には詫びてはいない。「えっ、本当ですか?」。宇田川の気持ちを伝え聞いた山崎は、すぐに顔を上げ「『全員で勝つ』ですからね」と、チームスローガンを挙げて続けた。良い時も悪い時もカバーし合い、互いを高め合って来たからこそ、言葉は要らないのだろう。
「我慢の1年でした」と宇田川が振り返ったプロ3年目の今季は46試合に登板し、4勝0敗、防御率1.77の成績を残した。「1年を通して自分のピッチングができなかったのですが、監督が我慢して使って下さいましたし、自分の中でも期待に応えなくちゃいけないと思っても、なかなか結果が出なくて我慢の年でした。去年は勢いで行ったというか、失敗が怖くないというか……。あっという間の1年で失敗を恐れてはいなかったんです」。グッとこらえていた言葉を前に出した。
(北野正樹 / Masaki Kitano)