計27勝の投手流出も…オリ“変貌”の予感 「野手で勝つ」OBが確信する猛牛打線の復活

オリックス・中嶋聡監督【写真:荒川祐史】
オリックス・中嶋聡監督【写真:荒川祐史】

2023年に16勝の山本はドジャース、11勝の山崎福は日ハムへ移籍

 2023年のオリックスは2年連続日本一こそ逃したが、21世紀初のリーグ3連覇を成し遂げた。常勝軍団の仲間入りを果たしたが、今季はエースの山本由伸と、初の2桁(11勝)を挙げた山崎福也が抜ける。リーグ4連覇に向け大きな痛手になるが、球団OBの坂口智隆氏は「次は野手で勝つチームになる可能性が高い」と予想する。

 2023年は86勝53敗4分、勝率.619で、2位・ロッテに15.5ゲーム差をつけパ・リーグを制した。エース・山本が16勝(6敗)、169奪三振、防御率1.21で3年連続「投手4冠」を達成。さらに山崎福が11勝(5敗)、宮城大弥は10勝(4敗)、開幕投手を務めた山下舜平大も9勝(3敗)をマークして新人王に輝くなど、リリーフを含めて盤石の投手陣を形成した。

 リーグ3連覇を支えた要因の一つは“12球団No.1の投手陣”だが、2024年は計27勝(11敗)を挙げた山本、山崎福の両輪が抜けることになる。坂口氏は「16の貯金を作った投手が抜けることはかなり痛い」としながらも「山下選手、東選手、曽谷選手ら実力のある若い投手がある程度は補う可能性がある」と、投手陣の活性化に期待を寄せる。

 1軍経験の乏しい投手でも高卒2年目を迎える斎藤響介、昨年9月にトミージョン手術を受け、フェニックスリーグで実戦登板を果たした椋木蓮ら“先発候補”は数多く控えている。中嶋聡監督の起用法も「絶対に無理をさせない。状態の良い選手を回しながら経験を踏ませ、勝負所のシーズン中盤には戦える形を作る」。選手が育つ土俵が、築かれていることも大きいという。

オリックスOBの坂口智隆氏【写真:中戸川知世】
オリックスOBの坂口智隆氏【写真:中戸川知世】

西川龍馬の加入で「試合に出る選手を固定できるようになる」

 投手陣に関してはマイナス要素よりも「期待感の方が大きい」と見ている。一方で野手に関しては「非常に大きな戦力が加わった」とし、「打順は変わるかもしれないが、試合に出る選手を固定できるようになる」と、広島からFA移籍した西川龍馬をキーマンに挙げた。

 西川は広島在籍8年間で通算打率.299の高打率をマークしたヒットメーカー。64本塁打とパンチ力もあり「ポイントゲッターにもなり、繋ぎや出塁もできる。1、2番でも中軸でも任せられる。なにより左右を苦にしない選手で打線に厚みが増す」と分析。森友哉、頓宮裕真の負担を軽減させるとともに、打線の軸として大きな期待がかかる。

「頓宮選手が3割を打ち首位打者に輝いたが、現有戦力で圧倒的な数字を残している選手は少ない。森選手は移籍1年目で素晴らしい成績を残したものの、得点力(2023年はリーグ3位の508得点)はそこまで高くない。西川選手が入ったことで得点力は確実に上がる。これまで試合に出られていた選手もうかうかできない。中嶋監督がフルで使いたい選手が出てきたことで、チーム内の競争意識も上がっていくのでないでしょうか」

 昨年のドラフトを見ても1位から4位までは将来性豊かな高校生を、5位からは即戦力の社会人投手を指名した。「投手陣は自前の選手で補える自信があると思います。高卒でも実力があれば1軍のチャンスもある。補強と育成のバランスが素晴らしい。優勝候補であることは間違いない」。今季は生まれ変わった“猛牛打線”が見られるかもしれない。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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