「20本塁打は期待」西川の穴を埋める長距離砲 左偏重から脱却へ…広島OBが推す2選手

広島・末包昇大(左)と堂林翔太【写真:矢口亨】
広島・末包昇大(左)と堂林翔太【写真:矢口亨】

新井宏昌氏が広島の今季を展望「打線を変える時かも」

 就任1年目の新井貴浩監督が率いた広島は昨季、5年ぶりのAクラス(2位)入りを果たした。だが、打線の軸だった西川龍馬外野手がオリックスへFA移籍。リーグ優勝を狙うチームにとっては大きな痛手となるが、野球評論家の新井宏昌氏は「これまでの左打線から強力な右打線に変わる可能性はある」と、2024年シーズンを展望した。

 昨シーズンは前評判を覆す戦いぶりだった。19年ぶりの開幕4連敗スタートも、3、4月を勝率5割で乗り切ると、4か月連続勝ち越し。2位でポストシーズンに進出した。チーム防御率3.20(リーグ4位)、493得点(リーグ5位)、打率.246(リーグ4位)と飛びぬけた数字はなかったが、終盤は新井監督の“神采配”に注目が集まるなど盛り上がりを見せた。

 ただ、新井政権2年目を前に西川が退団。3割を期待できる好打者の流出に新井氏は「チーム1番の打者がいなくなるのはかなりの痛手」としつつも「経験を積んで一気に覚醒する選手もいる。チームの打線を変える時かもしれない」と期待も寄せている。

 昨年は西川を筆頭に秋山翔吾、野間峻祥、板倉将吾、小園海斗ら左打者を中心とした打線を組んでいた。だが、西川が抜けることで、レギュラーを狙える可能性がある選手にとってはチャンス到来。新井氏はその候補として、堂林翔太とプロ3年目を迎える末包昇大の名前を挙げる。

 2人とも「右の強打者」として期待され、堂林は昨年、打率.273、12本塁打、35打点をマーク。2年連続で100試合に出場し安定した成績を残した。末包も65試合出場ながら打率.273、11本塁打、27打点を記録。シーズン終盤は代打で勝負強さを発揮するなど結果を残した。

堂林翔太&末包昇大は「20本塁打は期待できる」

「堂林は“本物の選手”に近づきつつある。末包は一発だけでなく柔らかい打撃も持ち味。2人ともシーズンを通して出場すれば20本塁打は期待できる。中軸を打てる右の日本人選手は貴重。この2人が覚醒すれば強力打線を組めるかもしれない」

 投手陣では大瀬良大地、森下暢仁の活躍は必要不可欠と見ている。昨季は大瀬良が6勝11敗、森下が9勝6敗だったが「実力は出せていない。上位を狙うには2桁勝利が最低条件。それぐらいの力は持っている」と新井氏。中継ぎ陣は経験を積んだ投手が多く、先発陣の奮起がポイントになりそうだ。

「選手の力量を把握し、信頼関係も作れたと思います。監督は明るいキャラクターでチームの雰囲気もいい。選手たちにプレッシャーを与えるのではなく、勇気を出させる采配は素晴らしい。西川の穴を全員で埋められれば、十分に上位を狙えるはずです」

 セ・リーグは昨年、阪神が圧倒的な力を見せて日本一に輝いた。2024年シーズンは猛虎を止める、1番手として新井カープに注目が集まる。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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