次々に現れる“逸材” 山本由伸&山崎福也が退団でも豊富な人材…オリの先発候補

オリックス・宮城大弥(左)と山下舜平大【写真:荒川祐史、矢口亨】
オリックス・宮城大弥(左)と山下舜平大【写真:荒川祐史、矢口亨】

エース候補は宮城…昨年新人王の山下や左腕・田嶋に加え、山岡の復帰も

 パ・リーグ4連覇を目指す2024年のオリックスだが、昨季16勝を挙げたエースの山本由伸投手がドジャースへ、11勝の山崎福也投手は国内FA権を行使して日本ハムに移籍した。先発ローテーションの中心だった2人の穴を埋めるのは誰か。昨季までの成績を参考に、今シーズンのオリックス先発陣を予想する。

 山本からエースの座を継ぐ筆頭に、宮城大弥投手を挙げたい。高卒2年目の2021年から3年連続で規定投球回をクリアし、2桁勝利をマークしている。2023年の完封勝利数はリーグ最多の「3」で、勝率.714、WHIP0.94、被打率.203はリーグトップの山本に次ぐ数字。公式戦のみならず、クライマックスシリーズ、日本シリーズでもプレッシャーのかかる局面を任され、年々頼もしさが増している。

 昨年の新人王、山下舜平大投手にとって2024年は実質2年目のシーズン。それでも昨年の快進撃を見れば、自然と投手王国の中心になることを期待してしまう。昨季は余裕をもった日程で登板していたが、中嶋聡監督がどのくらいの頻度で起用するのかも注目だ。東晃平投手はプロ入りから無敗の7連勝中。昨季後半戦から1軍に定着し、阪神との日本シリーズ第3戦では5回1失点で勝利投手になった。山下と同じく1軍で完走できれば、2桁勝利も見えてくる。1年目の昨年に1勝を挙げた曽谷龍平投手もローテ入りが期待される。

 山下、東、曽谷はいずれも年間通してローテーションを守った経験がまだない。それだけに過去2度、規定投球回に到達した実績を持つ田嶋大樹投手の存在は大きい。昨季の田嶋はコンディション不良もあって13登板にとどまった。それでも6勝をマークし、日本シリーズ第5戦では7回無失点の快投を見せた。今季は3年ぶり規定到達、自身初の2桁勝利も達成なるか

 山岡泰輔投手は昨季後半から本格的に中継ぎに向ったが、先発としての実績も十分。開幕投手を2度務め、13勝を挙げた2019年は最高勝率のタイトルを獲得した。先発復帰となれば、心強い存在となる。

前ロッテのカスティーヨが加入、移籍の吉田輝星や鈴木博志もチャンスか

 山岡同様に昨季、中継ぎで貢献したのが小木田敦也投手。イニングをまたいだ登板もこなし、38試合で防御率2.19とブルペンに欠かせない存在になったが、7月22日の日本ハム戦ではブルペンデーの一環で先発。社会人のTDK時代にも先発経験がある。ローテーションの穴を埋める、ダークホースになる可能性もある。

 新外国人ではアンダーソン・エスピノーザ投手、アンドレス・マチャド投手、ルイス・カスティーヨ投手が加入。カスティーヨは昨年在籍したロッテで、7月末から先発ローテーション入り。3勝を挙げた。

 ファームでの成果を引っさげて1軍定着を目指す投手も。村西良太投手はアンダースローに変えたことが功を奏し、昨季のウエスタン・リーグ最優秀防御率を獲得した。2019年育成ドラフト1位の左腕・佐藤一磨投手はウエスタン最多勝となる8勝を挙げた。2022年ドラフト3位入団の齋藤響介投手は昨季、ファームで11登板、1勝2敗、防御率2.25。9月26日の西武戦で1軍デビューし、4回無失点と好投した。

 トレードで日本ハムから移籍した吉田輝星投手、現役ドラフトで中日から加入の鈴木博志投手も楽しみだ。吉田は2022年に中継ぎで活路を見出し、自己最多の51試合に登板したが、新天地で再度先発へ挑戦となるか。鈴木はプロ1年目の2018年に53登板、12ホールドと中継ぎでブレークしたが、ここ2年は先発でも起用されている。

 12投手を紹介したが、それ以外の投手が昨季の山下や東のように台頭する可能性もある。山本と山崎福の退団をチャンスととらえ、飛躍する投手が現れるか。今季もオリックス投手陣は必見だ。

(「パ・リーグ インサイト」菊地綾子)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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