西川龍馬を抑えるなら…“自主トレ仲間”石川亮が考察 天才打者の凄み「細身なのに…」

オリックス・西川龍馬(左)と石川亮【写真:北野正樹、真柴健】
オリックス・西川龍馬(左)と石川亮【写真:北野正樹、真柴健】

自主トレ仲間のオリックス・石川亮が証言する西川龍馬の凄み

 新戦力は“練習仲間”だった。オリックスの石川亮捕手が、今オフに広島から国内FA権を行使してオリックスに移籍した西川龍馬外野手の練習姿勢に刺激を受けた。2人は1月の自主トレ期間、ソフトバンクの近藤らとともに鹿児島・徳之島で鍛錬を積んでいる。

 石川は前髪をかき上げながら爽やかに言う。「自主トレの練習メニューも多くて厳しいんですけど、龍馬さんはそんな問題じゃないですよ……。多分、『打っていていいよ?!』って言ったら、余裕で3時間以上はマシン打撃をするタイプだと思います」。1学年上の“安打製造機”の練習姿勢に尊敬の念を抱いている。

 自主トレ期間の朝は早い。例年、ピラティスから始まり、ランニング、キャッチボール、ノックと守備練習を午前中に行う。午後からバットを握り、打撃練習を開始。快音を響かせ終えるとウエートトレーニングを始める。

「僕はウエートの時点で、もうヘロヘロなんですけどね……(笑)。龍馬さんは、そこからまた打撃練習をしますから。それだけじゃなくて、誰よりも打球を飛ばしますね。細身なのに、パワーが凄いです。パ・リーグに多いパワー系の投手に対して、どれぐらい打つんだろう? という楽しみがありますね」

西川龍馬は「低めに丁寧に投げれば投げるほど、しっかりと打つ」

 同じ空間で練習する石川に“捕手目線”で尋ねてみた。西川が打席に立ち、自分がマスクを被っている場合、どのように抑えるのか――。石川は、目を細めて言葉を紡いだ。「打つべくして打っているバッターです。スイング軌道の再現性が高い。あれだけ練習しているのが、全て詰まっています。だから、抑えるのは難しいですよ」。微笑みは苦笑いに少しずつ変わっていた。

「抜けたスライダーとか、少し浮いたフォークじゃないと打ち取れないんじゃないですかね……。投手は基本、外角低めに投げるじゃないですか? でも、龍馬さんの場合は低めに丁寧に投げれば投げるほど、しっかりと打つ。超ローボールヒッターだと思います。バットコントロールもハンパないです」

 ふと視線を上げ、封じる作戦を再び考えた。数秒後に出てきた“答え”は「やっぱり、予想外のことが起きないと難しいレベルですね。それぐらい打つと思います。(仲間になり)頼もし過ぎます」。脳内を整理し終えると、ニッコリとした笑顔が戻った。

 チームが狙うは4連覇&日本一奪回。2023年は阪神との日本シリーズ第7戦に敗れ、頂点に立つことができなかった。「最後、悔しい思いをしたので。新しい仲間も増えますし、次こそという気持ちが強いです」。見つめる先には、チャンピオンフラッグがある。

〇真柴健(ましば・けん)1994年8月、大阪府生まれ。京都産業大学卒業後の2017年に日刊スポーツ新聞社へ入社。3年間の阪神担当を経て、2020年からオリックス担当。オリックス勝利の瞬間に「おりほーツイート」するのが、ちまたで話題に。担当3年間で最下位、リーグ優勝、悲願の日本一を見届け、新聞記者の卒業を決意。2023年2月からFull-Count編集部へ。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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