燕コーチが期待…“勝負師”の23歳逸材 覚醒候補が秘めた「数字で表せない面白さ」

ヤクルト・北村恵吾【写真:荒川祐史】
ヤクルト・北村恵吾【写真:荒川祐史】

北村恵は新人だった昨季プロ初アーチを放つも打率.190にとどまった

 昨季5位に終わり、覇権奪回を目指すヤクルト。チームの底上げには若手の飛躍が欠かせないが、楽しみな選手は多い。畠山和洋2軍打撃コーチが、ブレークの可能性を秘めた2人の選手を明かした。

 まずは、北村恵吾内野手。2022年ドラフト5位で中大から入団して今季が2年目。昨季も1軍で12試合に出場して1本塁打を放ったが、打率は.190にとどまった。イースタン・リーグでは96試合の出場で打率.234、10本塁打、46打点と経験を積んだ23歳について「意外と勝負師。数字では表せない面白さというか、3割打ちますとかではなく、勝負所で面白い打撃をしてくれるんじゃないかという楽しみがある選手」と説明した。

 リーグ優勝を果たした2015年に打点王に輝くなどチームの主軸だった畠山コーチにとって、北村恵は「何でもかんでもではなくて、経験すればヤマを張って狙って打てるようになる。俺みたいな感じ。俺も昔そうだったから、配球を読んで、狙えば本塁打もいけるみたいな。今そういうのができる選手って少ないから」という。

「体の強さも足りないし、波がある」と課題はもちろんあるが、それでも「昨年ファームでも、調子が上がっているときは今すぐ1軍に行って打てるのではと思うくらいだった。面白いよ、本当に」という可能性を秘めた選手なのだ。

台湾WLでは打率.340、2本塁打、10打点、OPS0.962の好成績だった

 プロ1年目は、シーズン後には台湾で行われた「2023アジア・ウインター・ベースボール・リーグ(WL)」にも参加し、18試合に出場して打率.340、2本塁打、10打点、2盗塁、71打席で4三振、15四死球、OPS0.962と“兆し”を見せ、2年連続のキャンプ1軍スタートを決めた。

 またファームでも動画や資料を見て熱心に研究している姿があったそうで「癖を見つけたりすることができる選手だと思っているから、そういうところを追及できればもっと伸びていくのではないか」と期待した。

 もう1人が、育成3年目を迎えた岩田幸宏外野手だ。昨年は2月の春季キャンプ途中に1軍昇格も、合流初日のフリー打撃で死球を受けて骨折。実戦復帰した1打席目の初球に自打球で骨折するなど“負の連鎖”は止まらなかった。「1年間で4回も骨折して、悪いものは全部出たでしょう。飛ばす力はないけど、足が速くて肩も弱くないしバットコントロールも悪くない。年齢(26歳)的にも今年勝負という感じだろうけど、チャンスはあると思います」と畠山コーチは評価する。

 昨季イースタン・リーグでは43試合の出場で打率.279、10盗塁。追い込まれてからの打撃には課題を残しており「もう少ししつこさが出て、ファウルを打てるようになれば1軍で勝負できる。中島卓也(日本ハム)みたいになれとは言わないけど、ああいうしつこさがあれば、四球を取ったり内野安打を含めて楽しみだね」と伸びしろは十分だ。特に外野は激戦区だけに、支配下から一気に定位置奪取も決して夢物語ではなさそうだ。

(町田利衣 / Rie Machida)

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