叶わなかったNPB復帰「いつかまた戻って」 オファーゼロで退団も…西武助っ人の日本愛

引退を表明した元西武のザック・ニール【写真:荒川祐史】
引退を表明した元西武のザック・ニール【写真:荒川祐史】

元西武のザック・ニールが自身のSNSで現役引退を表明

 西武ファンから愛された助っ人が、野球選手としてのキャリアに終止符を打った。2021年まで西武でプレーしたザック・ニール投手が23日(日本時間24日)に現役引退を決断。NPBを離れてから2年が経っていたが、自身のSNSでは「日本で過ごした時間は特別でしたし、一生の宝物です」と日本語でメッセージ。右腕は渡米後も日本への思いを語っていた。

 昨季はアスレチックスに所属しメジャーとマイナーを行ったり来たりだった。大谷翔平投手が所属していたエンゼルス戦とも対戦することがあり、同カードの試合前のクラブハウスでは、日本人記者を見ると、少しうれしそうな表情を見せたようにも思えた。トレードマークの髭もそのままで、西武時代と変わらぬ風貌だった。

 覚悟を決めて来日した。2010年MLBドラフトにてドラフト17巡目(全体527位)でプロ入りを果たしたが、メジャーでは8年間でわずか31登板のみ。年齢も30歳となり、「変化を受け入れなければならない、そしてアメリカ流の野球をやるのではいけないと自覚した上で、日本に行ったからね」。プロの野球選手として生き残る方法を模索した。

 高橋光成投手ら、チームメートの支えもあり、日本文化にはすぐに馴染むことができた。日本語も勉強し、ヒーローインタビューでは「あざーす!」と言うのが恒例に。メットライフドーム(現ベルーナドーム)へは、電車で通い、寿司や親子丼も大好物だった。愛妻のキアナ夫人も日本を満喫。「彼女はキョウト旅行にひとりで行っていた。僕はキョウトには行けずじまいだった」と笑う。

アスレチックス時代のザック・ニール【写真:川村虎大】
アスレチックス時代のザック・ニール【写真:川村虎大】

2019年には11連勝も…2年間不振で退団「自分がけっこう日本人になっている気がしたよ」

 2019年には球団の外国人投手としては最長の11連勝を飾るなど、12勝1敗、防御率2.87という好結果を残した。しかし、2020年、2021年はともに防御率5点台と不振に。オフに自由契約となった。「僕は日本に残る方向でいた」。しかし、NPBの他球団からのオファーはなし。「離れる時は、自分がけっこう日本人になっている気がしたよ」。志半ばで母国へ戻った。

 2022年はマイナーで1年間を過ごし、2023年にアスレチックスで再びメジャーの舞台に戻った。それでも「いつかまた日本でプレー出来たらと思っている。そうなったら……僕は戻りたいんだ。それが僕の目標のようなものだ」。“第2の故郷”とも呼ぶ日本での経験が忘れられなかった。

 現役を引退することで、投手として再び日本のマウンドに立つ夢は叶わなかった。それでも引退を表明した投稿では「日本にいた時は子どももまだ生まれたばかりだったので、いつかまた戻って来て日本という国の素晴らしさを見せてあげられたらと思います」と再来日を誓う。西武在籍時代の2021年1月に生まれた長女ブレイリンちゃんは今年で3歳に。今度はパパとして、娘に日本の素晴らしさを伝えるのが新たな夢だ。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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