世間を騒がせた“自費キャンプ”の真実 非難の嵐でイメージ悪化…貫いた信念と後悔

ロッテ・佐々木朗希【写真:荒川祐史】
ロッテ・佐々木朗希【写真:荒川祐史】

球団と折り合わず、未更改のまま2008年のキャンプインを迎えたG.G.佐藤氏

 25日時点で契約更改交渉を終えていないロッテ・佐々木朗希投手の動向が注目される中、球団OBのG.G.佐藤氏(本名・佐藤隆彦)がFull-Countの取材に応じ、西武時代の2008年開幕前に経験した“自費キャンプ騒動”を振り返った。

 佐藤氏は入団4年目の2007年に136試合で打率.280、25本塁打69打点の成績でレギュラーに定着するも、オフの契約更改では球団との年俸の折り合いがつかず、異例の6度の保留。その間に当然ながら越年し、未更改のまま2月1日のキャンプインを迎えた。当時では「自費キャンプ」と大きな話題となったが“真実”は違った。

「球団から『自費で行け』と言われたことはなかったと記憶しています。遅かれ早かれ更改はするはず、ということで球団が払ってくれていたんだと思います。越年して保留していたということで、メディアの間で自費キャンプという言葉が一人歩きしているだけだったんじゃないですかね」

 未更改で参加したキャンプでも“不当”な扱いを受けたこともなく「みんなと全く一緒」。交渉は代理人に任せていたため、佐藤氏自身がキャンプ中に幹部と話し合うこともなく、年俸調停寸前までいきながらも最後は佐藤氏が希望する額で決着した。「2月の中旬から終わりにかけてくらいだったかな」。

 当時は「銭ゲバ」などとバッシングされ、世間の風当たりも強かったが、自身の信じた正当性を少しも曲げなかった。「自分が正しいと思った部分(金額)に固執してしまっていたわけです。相手もそうだからぶつかる。あの頃は分からなかったけど、今思うと、やらなくてもいいことまでやってしまっていたのかな」と神妙に語った。

「僕に関してはお金のことだったから尚更だけど、揉めて長引くと、どうしても印象が悪くなる。でも朗希君ほどの未来のあるスーパースターの印象が悪くなってしまったら、それはとても良くないことだと思います。何が原因で長引いているのかは知りませんが、そこ(固執している面)はちょっと緩めてみてはいかがですか、と言いたいです。誰からも応援される選手であって欲しいので」

“自費キャンプ”自体に苦しむことはなかったが、そこに至る過程において胸を痛める経験はした。「もう、そんなことになる人はいないよね」。G.G.佐藤氏の“自費キャンプ”騒動の真実だ。

(湯浅大 / Dai Yuasa)

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