タイトル獲得3人を圧倒…40歳の「16.65」　体調万全なら断トツか、熾烈なパの本塁打王

万波は25発で1本届かず、中村は88試合で17本塁打をマーク

　2023年のパ・リーグでは、シーズン最終戦まで熾烈な本塁打王争いが繰り広げられた。楽天・浅村栄斗内野手、ロッテのグレゴリー・ポランコ外野手、ソフトバンク・近藤健介外野手の3人が、26本塁打で並んでタイトルを獲得した。今回は、昨季のパでチーム内最多の本塁打を記録した選手たちを、実際の成績とともに紹介する。

○万波中正外野手（日本ハム）

　横浜高から2018年ドラフト4位で日本ハムに入団。高卒4年目の2022年には100試合に出場し、持ち前のパワーを発揮して14本塁打を記録。1軍定着の足がかりを作った。2023年は141試合に出場して自身初の規定打席に到達。シーズン最終盤まで本塁打王を争った。25本塁打で、惜しくもタイトルを逃したものの、打率.265、出塁率.321と課題の確実性も大きく向上した。

○浅村栄斗内野手（楽天）

　2008年ドラフト3位で西武に入団。2011年からレギュラーの座に定着し、2013年には23歳の若さで打点王を獲得。不動の二塁手として、2018年には自身2度目の打点王に輝きリーグ優勝に貢献した。2019年の楽天へ移籍し、2020年には32本塁打で初の本塁打王に。2023年は8年連続全試合出場を達成するとともに、自身2度目の本塁打王を獲得した。

○中村剛也内野手（西武）

　2001年ドラフト2巡目で西武に入団。2005年に22本塁打を放ってブレークし、2008年に46本塁打で初の本塁打王に輝くいた。そこから史上3位の多さとなる6度の本塁打王、同6位の4度の打点王を獲得。2019年には36歳にして30本塁打、123打点を記録して打点王に輝いた。40歳シーズンの昨季は故障の影響で88試合の出場にとどまったものの、チーム最多の17本塁打を放ち、OPS.819と復調を印象付けた。

ロッテから37年ぶりに誕生した本塁打王、森友哉は移籍1年目で好成績

○グレゴリー・ポランコ外野手（ロッテ）

　ポランコはパイレーツ時代の2016年に22本塁打、2018年には23本塁打を放つなど、MLB通算96本塁打を記録した。2022年に巨人に入団し、138試合で24本塁打をマークした。昨季からロッテに活躍の場を移し、序盤は不振に苦しんだものの、8月と9月の2か月だけで13本塁打を放った。チームにとっては落合博満氏以来、実に37年ぶりの本塁打王で、指名打者部門のベストナインにも輝いた。

○森友哉捕手（オリックス）

　2013年ドラフト1位で西武に入団。2015年に20歳の若さでレギュラーに定着し、打率.287、OPS.825と好成績を記録した。2018年以降は主戦捕手に定着。2019年には捕手としては野村克也氏以来54年ぶりとなる首位打者を獲得し、同年のリーグMVPにも輝いた。2022年オフにFA権を行使し、オリックスへ。昨季は故障による離脱がありながら、リーグ4位の打率.294を記録し、出塁率.385、OPS.893とハイレベルな成績を残した。自身4度目となる捕手部門のベストナインを受賞する活躍で、移籍初年度からリーグ優勝に大きく貢献した。

○近藤健介外野手（ソフトバンク）

　2011年ドラフト4位で日本ハムに入団。4年目の2015年に自身初の規定打席に到達し、打率.326をマークした。2017年には故障で57試合出場にとどまったものの、打率.413を記録し、「幻の4割打者」として話題を呼んだ。ソフトバンクに移籍した昨季は26本塁打、87打点で2冠王に。出塁率.431で自身3度目の最高出塁率にも輝くなど、移籍1年目から圧倒的な活躍を見せた。

　各チームの本塁打王1位の本数には、少なからず差が生じている。しかし、本塁打を1本記録するまでにかかった打数を示す「AB/HR」に目を向けると話が変わる。本塁打王を獲得した3選手のうち最もAB/HRが優秀だったのは、17.19のポランコ。しかし、中村はそのポランコを上回る、16.65を記録している。

　中村は今回取り上げた選手の中で、本塁打を記録するペースが最も速かった。森のAB/HRは21.33で、万波21.32とほぼ同じ。フル出場できていれば、中村、森がタイトルを争っていた可能性は大いにあったと考えられる。今回取り上げた選手たちがパワーを大いに発揮して再び本塁打王を争うのか、それとも他の選手が割って入る活躍を見せるのか。豪快な本塁打の数々に、2024シーズンも注目してみてはいかがだろうか。

（「パ・リーグ インサイト」望月遼太）

（記事提供：パ・リーグ インサイト）