阿部監督が絶賛「魅力的ですよね」　打者6人を“ギャップ”で圧倒…ドラ5左腕の能力

門脇をスライダーで空振り三振、岡本和をチェンジアップで遊飛

　巨人の宮崎キャンプでは7日、初めて実戦形式のシート打撃が行われ、ドラフト5位ルーキーの左腕・又木（またき）鉄平投手が、打者6人を無安打4奪三振に抑え込み、登板した6投手の中でピカイチの結果を残した。

　ゆったりとしたフォームからキレのあるストレートを投げ込み、相手打者を押し込むのが真骨頂だ。この日のシート打撃は各打者カウント1-1から始まる形で行われ、まずは先頭の萩尾匡也外野手をストレート2球にかすらせもせず、空振り三振に仕留めた。

　続く門脇誠内野手にはストレート2球をファウルにされるも、カウント2-2からショートバウンドとなるスライダーを振らせ、2者連続三振。又木自身にとって、一番手応えがあった対戦だそうで、「真っすぐをファウルされて粘られていた中で、スライダーで空振りを取れたということは、真っすぐと同じフォームで投げられているのかなと感じました」と満足げに頷いた。

　昨年3度目の本塁打王を獲得した岡本和真内野手には、内角のストレートでファウルを打たせた後、2球目のチェンジアップで遊飛に打ち取った。「初球の真っすぐは逆球でしたが、ファウルを取った勢いのまま、外のチェンジアップでうまく崩せたと思います」としてやったりだ。

　さらに、中山礼都内野手をカーブで空振り三振。山瀬慎之助捕手にはチェンジアップを空振りさせた後にストレートで詰まらせ、まんまと遊ゴロに打ち取った。秋広優人内野手との対決も興味深かった。カウント2-2からインハイのストレートをファウルさせた直後、真ん中付近にカーブを投じると、秋広はバットを出せず見送り三振に倒れた。

社会人野球の名門・日本生命に3年間在籍

　阿部慎之助監督と岡本和は又木について、くしくも同じ所を指摘した。阿部監督が「力感のないフォームから、（球速が）144～145（キロ）出る。真っすぐで空振りを取れるのは魅力的ですよね」と評すると、岡本和も「本当にいい球で、フォームとのギャップがあって、すごくいいピッチャーだなと思いました」と称賛。投球フォームと実際の球威の“ギャップ萌え”が、又木の持ち味のようだ。

　山梨・日川高、東京情報大を経て、社会人野球の名門・日本生命に3年間在籍。豊富なキャリアに裏打ちされた落ち着きが光る。これだけの快投を演じても、「100点中だったら、50点くらいかなと思います」と浮かれるところがない。「もう少し出力も、変化球の精度も上がると思います。それにカウント1-1からだったので、カウントが0-0の時にはどう組み立てるのか、そういうところもしっかり追い求めてやっていきたいと思います」と語った。

　巨人の2年連続Bクラスの要因の1つは、リリーフ陣の不振にあっただけに、ルーキーとはいえ経験豊富な又木の存在は心強い。さらに場合によっては、先発として起用される可能性もありそうで、阿部監督は「どうなんだろ？　本人に聞いておくわ」と含みを持たせた。巨人の支配下ドラフトでは最下位だったが、期待は高い。

（宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki）