山本由伸の前で「獲りたかった」 “阻止”された3年…宮城大弥、エース不在の新挑戦

オリックス・宮城大弥(左)とドジャース・山本由伸【写真:北野正樹、荒川祐史】
オリックス・宮城大弥(左)とドジャース・山本由伸【写真:北野正樹、荒川祐史】

実績十分の22歳左腕も「まだまだ若手」…狙う開幕投手

 タイトル奪取で勲章を刻む。オリックスの宮城大弥投手が、チームの4連覇&日本一奪回とともに目標とするのが「個人タイトル」の獲得だ。これまで投手部門の冠を総なめにしてきた山本由伸投手がドジャースに移籍したことで、宮城がタイトルを獲得する可能性は高くなってきたが「由伸さんの前で獲りたかったですね」と心境を吐露した。

 2021年からリーグ最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、勝率1位の投手主要部門4冠と沢村賞を3年連続で獲得してきた山本が、ポスティングシステムを利用して、メジャー移籍を決断。日頃からお世話になる先輩右腕が日本球界を去ることで、宮城が初めてタイトルを獲る確率は上がった。

 常々、「由伸さんから1つでもタイトルを奪いたい」と闘志を燃やしていた宮城だけに“ライバル”が海を渡ったのは寂しい気持ちもある。宮城にとって山本は目標にする偉大な選手であり、その差を縮めることで、自分の成長度合いを知るバロメーターでもあった。

 そんな山本が、メジャーに挑戦しても気になる選手として名前を挙げたのが、宮城だった。左腕は「そう言っていただけてすごくうれしいですし、もうちょっと気になるように頑張りたいですね。タイトルを獲ったら、もう少しは気になってくれると思います」と笑顔で呼応した。

 宮城にとって“タイトル”は初めてではない。プロ2年目の2021年に13勝(4敗)を挙げ、パ・リーグの最優秀新人賞(新人王)に輝いている。ただ、宮城は新人王をタイトルとして強く認識していないという。新人王は、その年に該当した選手の中から記者投票で選ばれるもの。ベストナインやゴールデン・グラブ賞と同じ選出方法の賞だが「球界全体の中でトップになって獲るのが本当の意味でタイトルだと思います」と説明する。明確な基準でトップに立ってこそ、胸を張れるというわけだ。

 今季に目指すのは、昨季2.27の防御率を向上させること。「(防御率は)自分自身の『生の数字』だと思いますし、そこをどう頑張れるかでチームにも影響が出てくると思いますので、そこは我慢しながら頑張りたい。上には上がいます。少しでも近づけるようにしたいです」と、昨季防御率1.21の山本の存在を意識して取り組むことを誓った。

 今季のリーグ開幕戦は3月29日。本拠地でのソフトバンク戦で「(開幕投手を)決めるのは首脳陣の方々ですが、もちろん逆算して調整をしていきます。まだまだ若手なので、キャンプからアピールしていきます」。エース格に成長しても慢心はない。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY