大谷翔平のメディア対応に“変化” ボンズを反面教師に…求められる7億ドル男の「仕事」

囲み取材に応じるドジャース・大谷翔平【写真:荒川祐史】
囲み取材に応じるドジャース・大谷翔平【写真:荒川祐史】

2月4日から4度目の囲み取材、この日は自然発生だった

 ドジャースの大谷翔平投手は21日(日本時間22日)、3月20日に韓国で行われるパドレスとの開幕戦の出場へ自信を見せた。米アリゾナ州グレンデールの球団施設で報道陣の取材に対応。「スケジュール通りには来ている。特にすごく早まっている感じではないので、予想通りの感じで来てはいるかなと思う。そう驚くということはないですけど、安心しているところは多少あるかなと思います」。1か月後に迫った開幕戦へ自らゴーサインを出したのは何よりだが、それ以上に驚いたのは、この日、大谷がメディアに対応したことだった。

 報道陣にクラブハウスが開放されてから10分後。複数のドジャース番記者がロッカー前に姿を見せた大谷のもとへ足を運び、囲み取材が“自然発生”した。ドジャースでも個別取材は禁じられているが、エンゼルス時代に“生の声”を聞けたのは球団広報が設定した囲み取材だけだった。ここからは広報仕切りとなったが、米メディアと日本メディアで区切って計6分8秒。大谷は時折、笑顔を交えて真摯に応じてくれた。

 この日一番の注目だったキャンプ2度目の「ライブBP」では、四球、二ゴロと結果を出せなかった。それでも、3日(同4日)のファンフェスタから19日間で4度目となる囲み取材。伝える立場にいる者としては、本当にありがたいことだ。いま、大谷が何を思っているか――。記事として伝えるため、その考えを知ることができるからだ。それにチームにも、いい影響を与えるだろう。今や全メディアが一挙手一投足に注目する超人気選手。「オオタニと対戦して、どうでしたか?」「オオタニとどんなことを話したんですか?」。他のチームメートに嫌がられることは分かっているが、こんな類の質問を必要以上に聞かなくて良くなる。

 デーブ・ロバーツ監督は現役時代にジャイアンツでバリー・ボンズと同僚だった。通算本塁打記録の更新が期待された2007年、現場に報道陣が殺到したが、ボンズは“大のメディア嫌い”。「私は多くの質問に答えないといけなかった」。ロバーツ監督は当時を苦笑いで振り返ったが、ボンズに代わって話さないといけないというのは、かなり酷だっただろう。チームの雰囲気が悪くなるのは必然。同年のジャイアンツはボンズとチームメートに不和がささやかれ、地区首位から19ゲーム差の断トツ最下位に沈んだ。

 大谷は10年総額7億ドル(約1050億円)のメジャー史上最高額でドジャース入り。メジャーの看板選手となった今は、例え負け試合でも代表してコメントを求められるケースが出てくるだろう(昨季までのエンゼルスではマイク・トラウトがその役目だった)。多くのファンが大谷をもっと知りたいと思うのは当然で、現場にはメディア殺到。実際に、ドジャースが取材規制をかけている中でも、連日、100人近くのメディアがキャンプ取材に来ている。

 ドジャースは全米で1、2を争う人気球団だ。勝つことはもちろん、ロバーツ監督は「メディア対応も仕事の一部だ」と指摘している。この日のようなメディア対応が、これから大谷のベーシックになっていくのだろうか。

(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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