ドラ1加入も…まさかの1年で育成契約 手術後は「逃げ道があった」、復活遂げる逸材の春

オリックス・椋木蓮【写真:真柴健】
オリックス・椋木蓮【写真:真柴健】

オリックス・椋木蓮「自分的には100イニングを目標にしています」

 着実に復活の道を歩んでいる。オリックスの椋木蓮投手が、宮崎春季キャンプで存在感を示している。2021年ドラフト1位の右腕は、2022年9月30日に右肘トミー・ジョン手術を受け、その後はリハビリに専念するため、入団から1年で育成契約に切り替わっていた。

 今春キャンプでは実戦にも登板。先発ローテーション入りを狙い、奮闘している。「支配下登録選手に、いつ戻れるかわからないですけど、もし戻ったらすぐに1軍で投げさせてもらうということだと思ってます。自分的には100イニングを目標にしています」。晴れやかな表情で、ボールを握る。

 長いリハビリ生活を乗り越え、昨年10月に開催されたみやざきフェニックス・リーグで実戦復帰を果たしたが「あの時は少しだけ痛みがあった。だから“逃げ道”があったんですけど、今はない。だから緊張しますね。投げていての怖さはないです」と気持ちを入れる。

 大阪・舞洲の球団施設に通うリハビリ生活は「苦」ではなかった。「全く投げられない状態だったので、目に見てわかるように着実に進んでいるのがわかる。(投球後に)痛みが何回かあって、その時は落ち込みましたけど。でも、初心じゃないですけど、ワクワクの気持ちが大きかったです」。キラリと目を輝かせる。

 昨季、チームは2位ロッテに15.5ゲーム差をつけて3連覇を果たした。テレビ画面の向こうで、仲間たちが躍動する。「自分も同じチームなのかな……? とは正直に思いました。客観視して『オリックス』というチームを見ていたので」。今オフには山本由伸投手と山崎福也投手が移籍し、先発の柱が抜けた。

 椋木の決意は固い。「結局、枠が空いたから(自分が)入れる……じゃなくて。元々6人揃っていても、結果を出さないとダメな世界。自分(の力)を高めて、勝てるようにしないといけないなと思っています」。焦りは禁物だが、伸び上がる直球が待ち遠しい。

 仲間にも恵まれた。「トミさん(富山)が一緒だったので、リハビリにもすごく前向きに取り組めた。トレーニングにしても、野球にしても……ポジティブな考え方ができました」。怪我で野球から離れた時間も、今となってはプラスだ。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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