大谷翔平の新たな儀式「ヘッド・バンプ」 誕生の秘話と込められたコーチの思い

一塁コーチとヘルメットをぶつけ合っているドジャース・大谷翔平(左)【写真:荒川祐史】
一塁コーチとヘルメットをぶつけ合っているドジャース・大谷翔平(左)【写真:荒川祐史】

大谷は出塁後にマッカロー一塁コーチとヘルメットをぶつけ合っている

 ヘルメットをコツン――。ドジャース・大谷翔平投手の新たな儀式として話題になっているのが、クレイトン・マッカロー一塁コーチとの「ヘッド・バンプ」だ。一塁へ出塁した際に、お互いのヘルメットをぶつけ合うという一風変わった儀式。2021年からドジャース一塁コーチを務める44歳に、誕生した経緯や秘めた思いを聞いた。

 大谷が移籍後初出場した2月26日(日本時間27日)のホワイトソックス戦前。マッカローコーチは大谷へ「一塁に出たら何かしないと……。オレたちにも何か必要だよな。だって、しょっちゅう一塁に出塁する可能性があるんだから」と問いかけ、こう提案をしたという。

「これはどうかな? 手をたたき合って頭をぶつけ合う。どう思う?」

 エンゼルス時代、出塁後は一塁コーチとグータッチや握手をしていた。ヘルメットをぶつけ合うとは、他のドジャース選手とも一線を画す儀式。大谷の反応はどうだったのか。「『頭がおかしいの?』という感じで私を見たけど、『やろう』と同意してくれたよ。ここまではうまくいっているね」。優しい笑顔を浮かべた。

 マッカローコーチは2002年ドラフト22巡目でインディアンス入り。右投左打の捕手だったが、選手としてはメジャーに届かなかった。2005年の現役引退後に指導者の道へ。ブルージェイズ傘下で監督を務め、通算402勝367敗。豊富な指導者経験、米メディア「ジ・アスレチック」のファビアン・アルダヤ記者から「ナイスガイ」と評される人心掌握術から、2022年オフにはロイヤルズの監督候補に挙がった好漢だ。

 ワールドシリーズ制覇が宿命づけられるドジャースでは、他球団から大物選手が移籍するのが当たり前。そういった大物選手もチームの一員として溶け込めるように――。そこで生まれたのが各選手とのオンリーワンの儀式だ。マッカローコーチは言う。

「フレディ(フリーマン)やムーキー(ベッツ)にもそれぞれちょっとした“お決まり”がある。他の選手たちにもね。(ミゲル)ロハスもだ。だから、私はショウヘイとこれ(ヘッド・バンプ)をやるよ。新しいトレンドになると思うよ。これが僕とショウヘイのトレードマークになると思う」

 6日(同7日)のホワイトソックスとのオープン戦。大谷は2回に中前適時打を放つなど全3打席で出塁し、マッカローコーチと3打席ともヘルメットをぶつけ合った。大谷は身長193センチあるが、マッカローコーチは178センチ。「彼は少し身をかがめなくちゃいけないから大変かもね。私はつま先立ちしないといけないしね」と笑った。

 昨年12月11日(同12日)にドジャースと10年契約を結んでから、もうすぐ3か月が経つ。心優しきコーチのサポートを受け、移籍1年目のシーズンへ向かっていく。

(小谷真弥 / Masaya Kotani)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY