吉田輝星が悟った「直すべきポイント」 トレード“即”フォーム修正を受け入れた真相

オリックス・吉田輝星【写真:小林靖】
オリックス・吉田輝星【写真:小林靖】

吉田輝星、移籍すぐのフォーム修正も「1回、受け入れてから考えよう」

 迷いはない。オリックスの吉田輝星投手が“復活”に向け、ひたむきに理想のフォームを追い求めている。今オフに日本ハムからトレードで加入した23歳右腕は「(春季キャンプで)やってきたことが少しずつ形になって来たと思いますけど、まだ納得のいく投球ではないので、キャンプでやってきたことをもっと続けてやっていかないといけないという感じですね」と冷静に話した。

 8日に行われた巨人とのオープン戦(京セラドーム)では9回のマウンドを任された。託された1回を無失点の抑えた後、吉田はフォーム修正への手応えと課題を振り返った。

 宮崎春季キャンプ早々に、首脳陣からフォーム修正を提案された。昨年12月19日から約10日間、鹿屋体育大の施設を使い投球フォームの動作測定や球質などを測定。それを受け自主トレで新たなフォーム修正に取り組み、キャンプに臨んだ。地面反力を使った右足から左足への体重移動などのアドバイスを受けたのだった。

「僕のフォームは左足が(地面に)着くまでに、じわっと体重移動していました。頑張って他の人と同じくらいの出力を右足で出したいと思っていましたが『右足自体の力はすごいけれど、効率が悪いですね』と指摘されました。捕手に向かう運動が速い方が絶対に球速は出るので、右足にそんなに力を入れず一瞬、抜いて間を作ると、いつもより出力が上がって。良い気付きをさせてもらいました」

 オリックス加入後の春季キャンプで提案されたのも「体重移動」だった。ただ、内容は微妙に違った。「鹿屋でやっていたのは右足から左足にどう体重をうまく移せるかでした。オリックスで教えてもらっているのは、どこをどう動かすというより、体重移動の方向。それがずれていると、どううまく動かしてもうまくいかない、というシンプルなものなんです」と説明する。

「修正点を指摘されるということは、誰から見ても直すべきポイントがあるということは事実だと思います。それが合うか合わないか、どうしていくべきか1回、受け入れてから考えようと思っていました」

フォーム修正前は「僕の中では140キロ後半は速い方」

 心情を吐露する一方で、1か月余りの取り組みによって「気にしているポイントは違いましたが、やってみたら感覚はいいし、アツさん(厚澤コーチ)も(中嶋)監督、中垣さん(征一郎巡回ヘッドコーチ)からも『いい方向性が出ている』と言ってもらえました。アドバイス通りに投げられてうまくいき始めている感じです」と手応えを語る。

「フォームに正解があるわけではないですが、どういう意識でやっても行き着くフォームは多分一緒で、両方(の修正)とも、その方向に向かっていると思います。左手の位置を変えたり、急にショートアームに変えたりするなどのフォーム改造とは違い、投球動作の意識改革ですね。まだ探り探りやっている部分もありますが、ちょっと良くなったということが分かりやすい時期ですから」

 8日の巨人戦では5番手として9回から登板し、打者3人を8球で抑えた。左打者の門脇には今季の実戦で初めて使ったフォークで空振り三振を奪った。「回転数が少なくなるように深く握って、三塁側から左バッターに向かっていくように落ちてくれました。練習で良い感覚が出てきたので使ってみたのですが、(打者から)いい反応を得られました」と笑顔を見せた。

 ただ、納得がいかないのは球速だ。13球のうち最速は148キロが2度。「練習では結構、150キロとか出しているんです。気持ちが上がってパフォーマンスも上がる方なのですが、そこで球速が上がらないというのは何かロスが起きていると思うので、そこは修正したいところですね」と明かす。

 キャンプ中には「僕の中では140キロ後半は速い方」と話していたが、フォーム修正で増速したことを試合で再現できないもどかしさが伝わる。ただ、修正の方向性が間違っていないことは大きな励みになる。

 3日の教育リーグ、ソフトバンク戦(タマスタ筑後)では2番手で登板し、2回1安打無失点。25球でまとめた。「狙われていたストレートをガチンと飛ばされたのもありませんでしたし、空振りも高めで奪えました。リリーフをやるにしても先発にしても、それが1番大事なことだと思うので、良かったと思います」。2試合連続して着実に進化していることを示した。

「力の入れ方とかの問題があると思うので課題にしていきます。球速というのは体重移動をうまくできればもっと上がってくると思います。新しい取り組みをしながらアピールもしなきゃいけないので、0点で抑えている中で開幕までに詰めていきたいですね。一昨年の自分を超さなきゃいけませんから」

 救援を中心に51試合に登板し、フル稼働した2022年シーズンの再現を思い描き、前を向く。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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