打率.000で背水の陣も…巨人の“天才打者”は「生き返る」 好調引き出した環境の変化

巨人・松原聖弥【写真:矢口亨】
巨人・松原聖弥【写真:矢口亨】

巨人OBの林昌範氏がキャンプ、オープン戦と好調をアピールする松原聖弥外野手を分析

 巨人・松原聖弥外野手が復活の兆しを見せている。29歳になった松原の心にある変化は一体どんなものなのだろうか。野球解説者で球団OBでもある林昌範氏は阿部慎之助監督の心理を紐解きながら「松原選手はもう一回、生き返る」とチャンスの与え方に着目した。

 松原は2021年に育成選手では球団初となるシーズン規定打席をクリアし、打率.274をマーク。だが22年は50試合出場で打率.113と低迷し、昨季は21試合出場で打率.000と無安打だった。今年は春季キャンプから目の色を変えて、戦っている様子がうかがえ、開幕1軍どころかスタメンに名を連ねる可能性も出てきている。

 春季キャンプのシート打撃で好結果を出した松原について、阿部監督はメディアの前で松原の名前を出した。現役時代から阿部監督と親交の深い林氏は「阿部監督はコーチ時代から松原選手を見ていたし、本人がラストチャンスと思ってやっていることは伝わっている。なので、こういう形でスポットライトを当てることで復活するんじゃないかと考えたと思います」とヘッドコーチ時代の視点も踏まえて、分析する。

 林氏は昨年、ファームの試合でもテレビ中継で解説をした。松原の打撃能力は2軍では飛び抜けていた印象を持つ。「彼のことを天才打者と呼ぶ人もいれば、正反対の言葉で表現する人もいます。2軍はずっといると“ファーム慣れ”してしまうことがある。監督が代われば、起用法や方針も変わります。そういうタイミングで阿部監督に1軍キャンプに抜擢されたので、非常にモチベーションを高く維持できている」とやはり一番は環境の変化が大きい。

本人の危機感…「間違いなくラストチャンスと思っている」

 移り変わりの激しい巨人の選手層において、ラストチャンスにかける思いを持って戦う姿を、投手と野手では違うが、林氏は自分の姿を投影する。

 同じ左腕で山口鉄也氏(現2軍投手コーチ)が2008年に台頭。林氏は左肘手術の影響もあり、出場機会が減った。「絶対にできると思う自分と、本当にやれるのかと疑いを持つ自分が出てくるんです。間違いなく、もうチャンスは少ないなと思った時期もありました」。2013年のDeNA時代にも、不遇から立ち位置を得たシーズンもあった。葛藤の中でも一つのきっかけで選手は変わることができる。ここまでの奮闘ぶりは本人が危機感を持って戦っていることも大きいが、阿部監督の存在も大きい。

 阿部監督と同時代を巨人で過ごしてきて、土俵際に立たされた時に強さを発揮する選手も見てきた。「阿部監督はチャンスを与えたら、もう一回生き返ると思っているはずです。センター争いの中に入れているところに松原選手の可能性と、這い上がってきている強さを感じていることがうかがえます」と期待を寄せる。

 近くで見ていてモチベーションの高さを感じており「もしかしたら、開幕スタメンを掴めるかもしれないですね」と予感させるほどの活躍ぶり。仮にスタメンではなかったとしても「開幕3連戦の松原選手の働き方を見たいですね。昨年は結果が出ずに、平常心ではなかった。最初の3試合はじっくりと見ていってあげたいですね」。ファンの期待と同じように再び、花が開く日を待つ。

(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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