コーチ兼任で強まった現役への思い「できるだけ長く」 36歳・安達了一の胸中「まずは試合に出る」

オリックス・安達了一【写真:北野正樹】
オリックス・安達了一【写真:北野正樹】

今シーズンからコーチ兼任となったオリックス・安達了一内野手

 36歳のベテランは“初キャンプ”を終え、現役への思いがさらに高まったようだ。今年からコーチ兼任となったオリックス・安達了一内野手。「僕の中で、この1か月は(選手とコーチが)9対1の感覚。自分のポジションを取らないといけない」。あくまで開幕1軍&スタメンを視野に調整を進めている。

 今季でプロ13年目を迎えた。しぶとい打撃と安定感抜群の守備で長年チームを支えてきたが、昨年オフに福良GMから「コーチ兼任」としての提案を受けた。選手としての割合が減少するのではないか、このまま引退に近づくのか……。迷いながらも承諾し、肩書は「選手兼任内野守備・走塁コーチ」に決まった。

 コーチ兼任として初めて迎えた今春キャンプは「これまでと、そこまで変化はなかった」という。ホテルから球場までは首脳陣の車に乗らず、通常の選手バスで移動。練習前後のコーチ会議にも1度も出席することはなかった。「コーチの肩書は頭に入れながらでしたが、本当に少しノックを打ったぐらい。選手としての調整をさせてもらいました。指導? そこまでの余裕はなかったのかも」と苦笑する。

 リーグ3連覇を果たした昨季は自己ワーストの23試合出場で、打率.246、4打点に留まった。開幕前に左肩、その後も脇腹を痛めるなど怪我に泣き、難病の潰瘍性大腸炎の影響で体調を崩しプレーできない期間もあった。チームの正二塁手は決まっていないが、宜保やゴンザレス、大城、西野ら候補は多く、激戦区なのは間違いない。

「選手層もかなり厚くなってきて、そこ(ポジション)は競争になる。今はやっぱり1年でも長くやりたいのはある。できるだけ長く」

京セラドームでの全体練習で最後までグラウンドに「いたほうがいいのかなと」

 現役への執着心はより強くなった。ただ、コーチ業をないがしろにしているわけではない。3月2日。京セラドームに戻ってきて初めての全体練習で“違和感”を覚えた場面があった。この日は打ち上がり(個々で練習を終えたら帰宅)で、主力や投手陣は指定された練習を終えると続々と球場を後にしていた。

 そんな中、安達は打撃練習を終えても、帰ることはなかった。若手が打撃ケージに入ると二塁のポジションに就き打球捕、その後も1人で走塁練習を行っていた。コーチ陣とも会話する機会もあり、最後は中嶋監督と談笑しロッカーに戻っていった。

 あえて、最後までグラウンドに残った理由を問うと「いやぁ、いたほうがいいのかなと(笑)。一応、肩書は守備走塁なので」と、照れくさそうに笑う。チームメートは1軍を争うライバルだが、コーチとしては現状のチーム状態を見極めることも必要。真面目な性格が、グラウンドでもそのまま表れていた。

「ここまでは順調っちゃ順調です。いつもはだいたい、この時期に怪我をしていたので。監督からは『若いやつにプレー面で言ってやってくれ』とは言われています。でも、まずは試合に出るため、自分のポジションを掴むためにやっていくだけです」

 昨年の阪神との日本シリーズ第5戦で、二塁の守備で逆転負けのきっかけとなる悪送球。「悔いが残る試合」と、今でも悔しさを口にする。今季は3年契約最終年。背番号「3」が勝負の1年に挑む。

○著者プロフィール
橋本健吾(はしもと・けんご)
1984年6月、兵庫県生まれ。報徳学園時代は「2番・左翼」として2002年選抜大会優勝を経験。立命大では準硬式野球部に入り主将、4年時には日本代表に選出される。製薬会社を経て報知新聞社に入社しアマ野球、オリックス、阪神を担当。2018年からFull-Countに所属。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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