バレンティンと“乱闘”で懲罰交代「未熟だった」 元燕助っ人が明かす衝撃事件の真相

元ヤクルトのトニー・バーネット氏【写真:町田利衣】
元ヤクルトのトニー・バーネット氏【写真:町田利衣】

バーネット氏は2014年にバレンティンとベンチでつかみ合い激しい口論

 元ヤクルト守護神のトニー・バーネット氏は、現在は編成部アドバイザーとしてチームを支えている。2010年に来日して、6年間で2度最多セーブのタイトルを獲得。2015年はチームを14年ぶりのリーグ優勝にも導いた“最強助っ人”として記憶に新しいが、熱い性格から試合中に同僚と乱闘寸前の騒ぎを起こしたことも……。10年越しに“事件”の真相や今の思いを明かした。

「あのときのことは、もちろん覚えているよ」。バーネット氏がそう振り返ったのは、2014年8月19日、神宮球場で行われたヤクルト-巨人戦でのことだ。1点リードの9回2死一塁、長野久義外野手に左翼線へ同点の適時二塁打を浴びたが、一塁から長駆生還を許したウラディミール・バレンティン外野手の緩慢守備に激高。この回を終えて一塁ベンチに戻ると両者はつかみ合いとなった。

 また9回裏の攻撃で遊ゴロに倒れたバレンティンが全力疾走せずに一塁ベンチに戻ると、両者は再び激しい口論から乱闘騒ぎとなり、同僚らが止めに入るなどその場は騒然。前代未聞の内紛に延長10回から2人は“懲罰交代”を命じられ、チームは敗れた。

「試合の中で、チームのためにとエキサイトしてカッとなってしまった。お互いに若くて未熟だったしね。チームに貢献したいという思いが2人ともあって、それがぶつかり合ってしまったんだ。その後お互い冷静になって、お互いに成功し合ったことで、今考えれば、ああいうのは必要だったかもしれない」

「いまだにYouTubeで出てきたりして…からかわれることもよくある」

 その後はすぐに話し合って“和解”した。「お互いプロなので、そこは割り切って『起きてしまったことは切り替えて、次にするべきことをやりましょう』という話をしたと思います。ハッキリとは覚えていないけれど、次の日には自分の仕事をしようと」と、わだかまりを残すことはなかった。

 バーネット氏は2016年に米復帰し、念願のメジャーデビューも果たした。2020年1月に現役引退を発表。時は経て40歳となったが「いまだにYouTubeであれが出てきたりして、今も思い出したりするよ。からかわれることもよくあるしね。対戦相手とならあるかもしれないけど、チームメートとってなかなか見ない。ユニークだったよね」。血気盛んだったかつての自分を笑い飛ばした。

 一方のバレンティンは、オランダ領キュラソー代表としてカリビアン・シリーズに出場するなど、39歳の今なお現役でプレーを続ける。バーネット氏は「みんながみんな、その年までできるわけではない。技術、体力が備わって、サポートしてくれる人間がいて、まだできるのであるばやるべき。応援してくれる人もいるのなら、なおさらね。ゆくゆくは誰もが引退するけれど、できるまでやった方がいい」と熱いエールを送った。

「自分はこうしてヤクルトのスカウトをやっている。野球の仕事をもらえるのであればそれに超したことはない」。トレードマークだった髭もなくなったバーネット氏は、すっかり穏やかな表情で、愛するチームのために第2の野球人生を歩んでいる。

(町田利衣 / Rie Machida)

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