山本由伸に見えた“動揺” 新天地デビューも1回5失点KO…日本時代は見せなかった隙

パドレス戦に先発したドジャース・山本由伸【写真:Getty Images】
パドレス戦に先発したドジャース・山本由伸【写真:Getty Images】

山本由伸、本来の姿を披露できず、初回5失点KO

■パドレス 15ー11 ドジャース(日本時間21日・高尺スカイドーム)

 明らかに“間”を取れていなかった。ドジャースの山本由伸投手が21日、韓国・ソウルの高尺スカイドームで行われたパドレス戦に先発し、1回4安打5失点でKOされた。新天地でのデビュー戦。打者9人に対して43球を投じるなど、結果は散々なものになった。

 苦しむ18番に、目が当てられなかった。記念すべき初球、真ん中低めに155キロの直球を投じたが、ボガーツに弾き返されて左安打を許した。無死一塁。ここから“沼”にはまった。18秒以内と設定されている「ピッチクロック」に気を取られているようだった。

 オリックス在籍時、セットポジションになった際は呼吸を整えて捕手のサインに頷き、三塁方向へ目線を送ると本塁を向き、そこからもう1度、三塁方向に目をやってからボールを投じていた。ただ、残りの秒数を気にするあまり、投げ急いでいるように映った。山本は試合後「セットポジションに入ってからの投球が乱れた。修正するポイントはわかっている」と息を吐いた。

 表情も冴えなかった。前日の記者会見では口を一文字にしたままで、目線も遠くを見つめるようだった。ハッキリと書くが、昨季までの笑顔は消えていた。練習中の表情も真剣そのもので、表情を緩めることはなかった。レベルの違うメジャーの世界に来たが、仲間と和気藹々と切磋琢磨するという“大切”なものを置いてきた印象を受けた。

 前日会見では「もちろん、楽しみな気持ちもありますし、緊張する気持ちもあります」と話した。日本時代は「とにかく、楽しむだけです」と答えていた質問だった。さらに「記念すべき初球は何を投げますか?」の問いが飛んだ時には「打たれたら困るので……秘密です」と解答。これまでであれば「秘密です、フフフ」と笑みをこぼすのが“通例”だった。

 環境が人を変える。新天地に馴染む必要がある。ただ……。“原点”を忘れてはならない。「目標に辿り着くには、コツコツと進むしか手段はないんです。一気に何歩も進めたら、誰も苦労しません」。山本の言葉で、何度も救われた。心に突き刺さった言葉がもう1つある。「仕事、楽しいですか? 記事を書くのって、面白いですか?」。もう1度、問いかけた。胸の奥底から燃えてきた。

○真柴健(ましば・けん)1994年8月、大阪府生まれ。京都産業大学卒業後の2017年に日刊スポーツ新聞社へ入社。3年間の阪神担当を経て、2020年からオリックス担当。オリックス勝利の瞬間に「おりほーツイート」するのが、ちまたで話題に。担当3年間で最下位、リーグ優勝、悲願の日本一を見届け、新聞記者の卒業を決意。2023年2月からFull-Count編集部へ。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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