人が嫌がることを率先「運も必要かな」 育成5位・河野聡太が独立L時代に課した“トイレ掃除”

オリックス・河野聡太【写真:北野正樹】
オリックス・河野聡太【写真:北野正樹】

独立L・愛媛マンダリンパイレーツから育成ドラフト5位で入団した河野聡太内野手

 愚直な取り組みが夢の実現への近道だと信じている。オリックスの育成5位ルーキー・河野聡太内野手は独立リーグ時代の1年間、“運”をつかもうと寮のトイレ掃除を志願。独立リーグ出身で育成から支配下登録された茶野篤政外野手をお手本に支配下を目指す。

「NPBに行きたいからやる、というのはどうかとは思ったのですが、そういうのを狙ってやってもいいかなと。運も必要かなと思いました」。河野は、はみかみながらもトイレ掃除に込めた思いを語った。

 九産大九州高、西日本工大を経て愛媛マンダリンパイレーツ入りする際、お世話になった関係者から「トイレ掃除を自分に課してみては?」とアドバイスをもらったのがきっかけ。人の嫌がることを率先してやることで、自らを律しプロ入りへの志を常に忘れないようにするため、入寮時に「僕が1年間、トイレ掃除をします」と宣言した。花巻東高校時代の大谷翔平投手が、指導者から「ごみは人が捨てた運。ごみを拾うことで運を拾う」と教わり実践していたのは知られた話。河野にとっても、父の基之さんが自宅のトイレ掃除を担当していたこともあり、抵抗はなかったという。

 寮の1階にあるトイレは大小の便器が各4つ。試合があるため、主に夜に取り組んだが「最初は冷やかしじゃありませんが『ようやるなあ』という感じだったのですが、続けていくと『まだやってるわ』となって、時間が経てば当たり前の風景になりましたね。別にゴミ拾いでもよかったのですが、たまたま一番わかりやすいのがトイレ掃除だったんです」と口にする。

 愛媛時代に並行して取り組んだのは、成功事例を調べることだった。独立リーグからプロ入りした選手の実績を参考に、プロ側が求めている選手像に近付けた。「どういうプレースタイルがプロのスカウトの方の目に留まるのかというのは、当然、参考にしていました」。徳島インディゴソックスから育成4位で1年前にオリックス入りした茶野の足跡を追ってきたと打ち明ける。

昨年、支配下登録を勝ち取った茶野を目標「数字はすごく追いかけました」

 名古屋商科大から徳島入りした茶野は、1年目に打率.316で首位打者を獲得、37盗塁、出塁率.418はともにリーグ2位。「どのくらいの成績を残せばNPBに近付けるのか。その基準として、数字はすごく追いかけました」。たどり着いたのは、脚力がある選手だった。

「ホームランとかは外国人選手に任せ、役割分担じゃありませんが動ける選手が必要とされていると思いました」。愛媛ではクリーンアップを任され、打率.301(リーグ5位)、39得点(同2位)、出塁率.406(同3位)、12盗塁(同6位)の成績を残し、スカウトの目に留まることができた。

 プロ入り後は、周囲の選手から支配下を勝ち取るまでの茶野について質問している。「茶野さん本人ではなく、周りの選手に『茶野さんはどのようにしして支配下選手になれたんですか』と聞いています。ご本人って意外と分からないものかと思って」。体験談を学ぶのではなく、客観的な視点からのアプローチだ。

 安定したスローイングを武器とした守備力に、優れたバットコントロールがアピールポイント。オープン戦では初めて起用された3月6日の中日戦(京セラドーム)で初打席に遊撃内野安打、2打席目も右前打を放ち、2打数2安打で“デビュー戦”を飾った。

 2本目はフォークボールにうまく対応したが「何をどう打ったのか、あまり覚えていません。どんどんレベルアップしていき、打つべき球だったのか、打つべきではなかったのかを選択して結果が出ていればいいのですが、今はわからない状態で結果がついてきているだけ。それだとすぐに壁にぶち当たるのかなと考えています」。試合後には、結果に一喜一憂せず足元を見つめる姿がそこにあった。

「結果を出すことでしかアピールはできません。結果、結果の繰り返しだと思います」。愚直に支配下への道を探る。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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