新人王争いで巨人右腕は「不利になる」 三つ巴の予想も…専門家が見た立ち位置の“差”

巨人・西舘勇陽【写真:矢口亨】
巨人・西舘勇陽【写真:矢口亨】

野球評論家・野口寿浩氏がセ・パの新人王を予想

 2024年の新人王レースはどうなるのか。現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で計21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏が予想した。セ・リーグは野手に有力選手がめじろ押し、パは“一騎討ち”になるのではないかと見ている。

「セ・リーグの新人王は、野手3人のうちの誰かになるのではないかと思っています」と野口氏は言う。オープン戦で打率.434の打棒を振るって首位打者となったDeNAのドラフト1位ルーキー・度会隆輝外野手、同.327をマークした同4位・石上泰輝内野手、同.400と打ちまくった巨人の同3位・佐々木俊輔外野手である。

 度会と佐々木はオープン戦でチームの1番打者として機能。遊撃の定位置に照準を合わせる石上を含め、3人ともまずはレギュラーの座を固めることが前提となる。

 また、新人王資格は“純粋なルーキー”だけに与えられるものではない。初めて支配下登録されてから5年目以内で、通算60打席の以内の打者、通算投球回30イニング以内の投手にも資格がある。昨季、セのMVPと新人王をダブル受賞した阪神・村上頌樹投手はプロ3年目、プロ初登板を開幕投手で飾りパの新人王に輝いたオリックス・山下舜平大投手も3年目だった。

「そういう意味では、広島の田村(俊介外野手)も有力です。振りがすごくしっかりしているロングヒッターで、将来的にはクリーンアップを打つでしょう」と野口氏は指摘する。高卒3年目で左打ちの田村は今年3月、侍ジャパンの一員に選出され欧州代表戦に出場したほど、球界で広くポテンシャルの高さを評価されている。

 投手では巨人のドラフト1位ルーキー・西舘勇陽投手が開幕1軍入りしたが、「当面は中継ぎとのことで、地味な印象は拭えず、記者投票では不利になると思います」。むしろ、高卒2年目で阪神の19歳左腕・門別啓人投手に可能性を感じるという。

「ストレートが強く、コントロールもいい。完成度の高い投手です」と評価。こちらも当面は中継ぎだが、「先発ローテに入れる力量は十分ある。投手陣のレベルが高いチームだけあって、当面は昨季先発で頑張って優勝をもぎ取った6人が優先されますが、シーズン途中から欠員ができてローテ入りすれば、かなり勝てそうです」と予想する。

オリックス・椋木蓮【写真:小林靖】
オリックス・椋木蓮【写真:小林靖】

トミー・ジョン手術から復活果たしたオリ椋木も有力候補

 パ・リーグでは、西武のドラフト1位の新人左腕・武内夏暉投手が、リーグ随一の投手陣で先発ローテの一角として計算されている。野口氏は「球が速く(最速154キロ)、完成度の高い投手です」と評する。

 もう1人の有力候補は、オリックス入団3年目の椋木蓮投手。ルーキーイヤーの2022年には、9回2死までノーヒットに抑える快投を演じるなど、ただ者ではないところを見せつけたが、9月に右肘を痛めトミー・ジョン手術を受けた。いまだ通算4試合2勝1敗、防御率1.02、投球回は17回2/3。昨季は育成選手としてリハビリに努め、今月14日に支配下復帰を果たした。

 野手陣では、ロッテのドラフト1位ルーキー・上田希由翔内野手も開幕2軍スタート。野口氏は「武内と椋木の一騎討ちになりそうな気がします」と見解を示す。

 新人王レースではシーズン途中に、思わぬ選手が台頭することもある。フレッシュな若手が次々と台頭し、ペナントレースを盛り上げる展開を期待したい。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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