阿部新監督が示した“新生巨人”の姿 専門家が絶賛した「これまでにない戦い方」

初陣を勝利で飾った巨人・阿部慎之助監督【写真:矢口亨】
初陣を勝利で飾った巨人・阿部慎之助監督【写真:矢口亨】

阿部巨人が白星発進…新井宏昌氏「今年1年の戦い方を見せつけた開幕戦」

■巨人 4ー0 阪神(29日・東京ドーム)

 巨人は29日、阪神との開幕戦(東京ドーム)に4-0で勝利した。先発の戸郷が6回無失点と力投し、打ってはベテラン・梶谷が1号2ランを放った他、美技も見せて攻守に活躍。ルーキー3人を出場させるなど、阿部新監督の積極采配が目立った。野球評論家の新井宏昌氏は「新たな巨人の姿。今年1年の戦い方を見せつけた開幕戦だった」と絶賛した。

 覇権奪回を目指す“新生巨人”が開幕戦で最高のスタートを切った。両軍無得点で迎えた5回、巨人は先頭・吉川が右翼フェンス直撃の二塁打を放ち、青柳のボークなどで1死三塁の好機を作る。ここで、1番に抜擢されたドラフト3位ルーキー・佐々木の遊撃へのゴロが野選となり1点を先制。さらに2死二塁から梶谷が右翼へ1号2ランを放ち、この回3点を挙げた。

 開幕前にメジャー通算178発の新助っ人・オドーアが電撃退団。右翼を守り、左の長距離砲として期待されていたが、35歳ベテランがその穴を埋めた。3回の守備では1死一、二塁で、森下が放った右中間へのライナーを鮮やかなダイビングキャッチ。すぐさまボールを内野に返し、一走・中野をアウトにする併殺を完成させた。

 相手の“先取点”をもぎ取り、豪快アーチで貴重な追加点。攻守で躍動したベテランの姿に新井氏は「1、2打席の内容は良くなかったが、そこは経験者。3打席目にはしっかり対応した。戸郷はそこまで良くなかった。梶谷の好守が敗戦投手から勝利投手に変えたといっても過言ではない」と称えた。

2年連続Bクラス「だからこそ思い切った野球ができる」

 投げては戸郷の後を受け、ドラフト1位ルーキー・西舘が7回に登板。キレのある直球を武器に3者凡退に抑えた。8回2死一、二塁の好機ではドラフト4位ルーキー・泉口を代打で起用(結果は三振)。阿部監督は勢いのある新人とベテランを大胆に起用し勝利を掴んだ。

 1番にルーキー・佐々木、2番に2年目の門脇が入るフレッシュな打線。昨年までの課題だった勝ちパターンにはドラ1右腕・西舘を抜擢した。新井氏も「スタメンからゲームセットまでが新鮮に感じた。昨年まで2年連続Bクラスのチーム。だからこそ思い切った野球ができる」と語る。

この試合では左打者がセーフティバントの構えを見せ、エンドランも仕掛けるなど、“一発攻勢”で勝利を目指した、かつての戦い方とは異なる。「泥臭く1点を奪いにいく。先制の場面も吉川が素晴らしい走塁を見せた。シーズンは始まったばかりですが、これまでにない戦い方を示せたのではないでしょうか」と分析する。

 昨年は6勝18敗1分と大きく負け越したライバルに快勝発進。ベテラン、中堅、新人をしっかりと見極め、投打が噛み合った。阿部新監督のタクトが光った開幕戦だった。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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