防御率10点台の理由「正直言ってわからない」 巨人で復活の元新人王…杉内コーチの疑問

阪神戦に登板した巨人・高橋礼【写真:荒川祐史】
阪神戦に登板した巨人・高橋礼【写真:荒川祐史】

無失点で降板を命じた阿部監督「これがセ・リーグなんだ、申し訳ない」

■阪神 5ー0 巨人(31日・東京ドーム)

 開幕から2戦連続零封勝ちしていた巨人は3月31日、本拠地・東京ドームで阪神に0-5で完敗し今季初黒星。開幕3連勝とはいかなかった。両チーム得点で迎えた8回、3番手で登板した中川皓太投手が勝ち越し3ランを被弾したのが痛かった。とはいえ、この日の7回まで「開幕から25イニング連続無失点」の日本タイ記録を達成。移籍後初登板・初先発の高橋礼投手が6回1安打無失点の快投を演じ、先発ローテの一角としてメドが立ったことがチームにとって何よりの光明だ。

 持ち味の速いテンポで、阪神打線をなで斬りにしていく。高橋礼は6回を投げ、許した走者3人(1安打2四球)はいずれも2死を取ってから。結局、二塁を踏ませなかった。

「速いテンポで投げれば、相手打者に考える間を与えず、味方の野手のリズムをつくれて、自分自身も考えすぎて悪い方向に行くのを避けることができる。とにかく速いテンポで、ストライクゾーンの中でどんどん勝負して、打たれた時には反省すればいいと心がけています」と説明した。

 0-0で迎えた6回の味方の攻撃では、2死一、三塁のチャンスで打順が回り、代打(梶谷隆幸外野手)を送られ降板を余儀なくされた。昨季まで在籍したDH制のパ・リーグなら、ここで降板することはありえなかったはず。阿部慎之助監督は「これがセ・リーグなんだ。申し訳ない」と頭を下げ、高橋礼は「次、頑張ります」と返したという。指揮官は「最高のピッチングをしてくれました。心強いですよ。十分、十分」と称賛した。

 希少価値の高いアンダースローで、ソフトバンク2年目の2019年には12勝(6敗)を挙げ新人王に輝いた。しかし翌2020年に4勝、21年には1勝と成績が下降。制球難に陥るケースが目立ち、過去2年間は1軍で1勝もできず。昨季は防御率10.80と低迷した。昨年オフにアダム・ウォーカー外野手との1対2のトレードで、泉圭輔投手とともに巨人に移籍し、新天地で復活を期しているところだ。

杉内コーチ「どうして去年あまりよくなかったのか、正直言ってわからない」

 この日は、速いテンポに加え、球速135キロ前後のストレート、ツーシームと115キロ前後のシンカー、スライダー、そして87キロを計測したカーブを駆使し、緩急が効いていた。

「このピッチングを1年間続けてほしいね」と唇を綻ばせたのは、杉内俊哉投手チーフコーチ。「どうして去年あまりよくなかったのか、正直言ってわからないね。コントロールもめちゃくちゃ悪いわけではなく、3ボールにしてしまうことはあるけれど、ストライクゾーン内で勝負すれば、打者はあの緩急を相当嫌がると思う。阪神打線にスイングをさせていなかったもの」と指摘し、「ゾーン内で勝負してほしい」と繰り返した。

 高橋礼自身「シーズン1発目の印象はすごく大事だと思っていました」と頬を緩め、「自主トレ、キャンプ、オープン戦で積み重ねてきたことを、どういう場面でもぶれないものにしていきたい。今日はその一歩になれたのかなと思います」と手応えありげにうなずいた。

 リーグも変わった今季、サブマリンが輝きを取り戻す条件はそろっている。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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