“問題児”が監督転身…元最多勝左腕の今 早出、叩かれたブログ「自分が反面教師」

大阪ゼロロクブルズ・藤井秀悟監督【写真:町田利衣】
大阪ゼロロクブルズ・藤井秀悟監督【写真:町田利衣】

NPB15年間で83勝の藤井秀悟氏は「大阪ゼロロクブルズ」で監督2年目

 ヤクルト、巨人などで通算83勝を挙げた藤井秀悟氏は、関西独立リーグ「大阪ゼロロクブルズ」で昨季から監督を務めている。現役を引退後は打撃投手などを務め「やっていて楽しかったし、天職だと思っていた」というが「違った世界で挑戦したいと思った」と決意。数々の逸話を持つ男は、自らを“反面教師”に指導者に転身した。

 今治西高時代は“伊予の怪腕”と呼ばれ、早大では通算24勝を挙げ防御率1.91。1999年ドラフト2位(逆指名)でヤクルト入りした。プロでも2001年に最多勝&ベストナインに輝き、3度の2桁勝利をマーク。日本ハム、巨人、DeNAと渡り歩いて15年間活躍した。

 順風満帆だったように見えるが、指導の根底にあるのは自身のほろ苦い経験だ。「ヤクルトと日本ハムにいたころはアーリーワークという考えがなかった。『投げられたらいいじゃん』って思っているから、クラブハウスから行ってすぐ投げて怒られたこともありました」と苦笑いする。しかし巨人へ移籍後、内海哲也氏が入念に準備する姿に「準備をしていなかったからパフォーマンスがあんまりだったって目覚めたんです」。今は選手に、準備する時間の大切さを説く。

「野球のために私生活を制限したことは1つもなかったけど、何か1つこだわりがあってもよかったかなと。だからこだわることの大切さは教えます。あとSNSは危険だから注意しろっていうのも……。僕が2006年に始めたブログは、見たいという人がいたから毎日10年間続けたけれど、マイナスなことの方が多かったかもしれない。自分が反面教師みたいになってますね」

「いろいろな失敗もしてきたけれど、更生して監督頑張っていますよ」

 大阪ゼロロクブルズは2012年シーズンからリーグに参入し、初年度から3連覇を達成。藤井氏は2022年からGM補佐兼投手コーチとして支え、監督就任1年目だった昨季は3位だった。

 当然、NPBとは環境も全く違う。選手らはバイトをしながら、NPBという夢に向かって努力を続ける。これまで接してきた選手たちとはレベルも異なるが「教えることでイライラしないんです。むしろ、どうにかしてあげたいと思う。教習所の先生だった父譲りなのかな。一緒の目標に向かってお手伝いできるって最高です」と目を輝かせた。

「問題児と言われていた。いろいろな失敗もしてきたけれど、更生して監督頑張っていますよ」と笑うと「全員に好かれようと思うなんて無理な話。よく思わない人もいるでしょう。ただ全部気にして生きていけないですから。変わっていると言われても、これと思うことは芯を持ってやるだけです」と言葉に力を込めた。

 監督として見据えるのは、NPB輩出。さらに「優勝することで東大阪市の人に球団を知ってもらえる。それも大事だと思っています。勝ちに行きたいですね」。継続力と指導力、さらに自身の経験……。監督・藤井秀悟は、新しい一面を見せている。

(町田利衣 / Rie Machida)

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