大谷翔平、DH初のMVPに現実味 “一刀流”でもWAR2位の衝撃…待ち受けるベッツの壁

ドジャース・大谷翔平【写真:Getty Images】
ドジャース・大谷翔平【写真:Getty Images】

指名打者でMVPは皆無、両リーグでの受賞はフランク・ロビンソンのみ

 史上初の偉業へ――ドジャース・大谷翔平が着実に歩みを進めている。21日(日本時間22日)の本拠地メッツ戦で今季5号アーチを含む2安打を放ち、同日終了時点で、大谷はリーグ1位の打率.368、同3位のOPS1.094をマーク。米データサイト「ファングラフス」版の勝利貢献度WAR1.5も同2位に位置しており、指名打者では初となるMVP受賞の可能性も高まっている。

 大谷はエンゼルス時代の2021年、2023年にア・リーグMVPを受賞。ともに満票で選出されており、2度目の満票選出は史上初の快挙だった。昨オフにはドジャースに歴代最高となる10年7億ドル(約1081億円)で移籍。両リーグでMVPに輝いた選手は、長いメジャーの歴史の中でもフランク・ロビンソン(1961年レッズ、1966年オリオールズ)だけであり、ナ・リーグ移籍1年目から偉業達成も視界に捉える好スタートを切った形だ。

 大谷が176号を放つと、MLB公式サイトは速報記事を出稿。その記事内では「2024年は猛烈なスタートを切っている。35安打と11二塁打はMLBトップで、打撃面ではキャリア屈指のシーズンになるペース。この数字は満票でア・リーグMVPに選出された2023年を上回る」と評した。キャリア最高の打撃成績を残しているならMVP受賞も……と期待は大きく高まるが、障害の一つになるのが、今季が“一刀流”である点だ。

 MVP投票において、近年最も重要視されている指標が、勝利貢献度「WAR(Wins Above Replacement)」。打撃・走塁・守備・投球を総合的に評価し、昨季の大谷は、米データサイト「ベースボール・リファレンス」版のWARでメジャートップの9.9をマークした。内訳を見ると、打者として6.0、投手では3.9を記録。しかし、今季は右肘手術の影響でDH専任が見込まれる。昨季はア・リーグ1位の44本塁打、OPS1.066を記録したが、打者でのWAR6.0は両リーグトップ10圏外にとどまり、少なくとも2023年を超える打撃成績が最低ラインとなりそうだ。

 個人との戦いはもちろん、“ライバル”に成績面で勝利することも必要だ。MVPレースの最大の“壁”となりそうなのが、他でもないチームメートのムーキー・ベッツ内野手だろう。

 ベッツは、4試合連続本塁打を放つなど、21日(同22日)時点でリーグ2位の打率.355、4位タイの6本塁打、2位のOPS1.103をマーク。今季はゴールドグラブを6度受賞した右翼ではなく遊撃に転向。センターラインを守っても好守を維持するオールラウンドぶりで、WARは堂々メジャートップの2.2で独走状態にある。MLB公式サイトのサラ・ラングス記者によれば、同じチームからMVP投票1位、2位が生まれた例は1969年の地区制導入後で6度あるという。“ベッタニ”が7度目のケースになる可能性もあるか。

 走攻守でWARを積み上げられるベッツに対し、DH専任の大谷は走攻の2つに貢献度が限られる。DHであることが“足枷”とも言える状況だ。また、過去の歴史を見ても、DHでMVPを受賞した選手は一人もいない。こうした逆境を跳ね返せるだろうか。大谷の1打席1打席を、改めて注目していきたい。

(Full-Count編集部)

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