入浴中の指揮官も困惑…「あかんわ!」 ゴミ箱に突っ込んだ頭、紅林が捨てた“苦悩”

坊主になる前後のオリックス・紅林弘太郎【写真:北野正樹】
坊主になる前後のオリックス・紅林弘太郎【写真:北野正樹】

オリックス・紅林、相棒の宮城に「お願い……!」

 ゴミ箱に頭を突っ込み、苦悩に“別れ”を告げた。オリックスの紅林弘太郎内野手が24日の西武戦(京セラドーム)で自身4度目のサヨナラ打を放ち、ヘルメットを脱いで歓喜のシャワーを浴びた。苦笑いで「高校時代以来ですね」とさする丸刈り頭を、スタジアムの全員に見せつけた。

 3-3と同点の延長10回2死二、三塁。果敢にバットを振り抜き、打球は左翼線へ。気迫の一振りで暗雲を切り裂いた。11日楽天戦以来、チーム今季2度目のサヨナラ劇場の主役は、またしても紅林だった。ナインから手荒い“祝福”を受け、ユニホームはびしょびしょに。一塁側ベンチ前では、中嶋聡監督から「愛の頭突き」をプレゼントされた。

 指揮官が両手で包み込んだ丸刈り頭は、13日の日本ハム戦で3失策を犯したことがきっかけで生まれた。「僕はズルズルと引きずってしまうタイプなので、1つの切り替え方法として考えました」。同期入団で仲良しコンビの宮城大弥投手にバリカンを手渡し「お願い……!」と頼み込んだ。

 失意の丸刈りは試合中から決めていた。「3つ目のエラーをしてしまってくらいから『やばいな……。ちょっと1回、切り替えよう』と思っていました。宮城に(バリカンを)お願いしたら、乗り気でした(笑)」。3ミリの長さにアタッチメントを設定し、親友に優しく剃ってもらった。

 長髪をなびかせていた紅林は「お風呂は楽になりましたね。3ミリになったので、すぐに(髪が)乾きます。心境は……。切り替えられたので、良い方向に。いじられまくってますよ!」と照れ笑顔を見せた。

誰も教えてくれない…独自の不振脱却方法

 細めた目の奥には、確固たる信念がある。丸刈りを担当した宮城からバリカンが戻ってくると、内緒でもう1度だけ整えた。ベンチ裏の風呂場にある“ゴミ箱”に頭を突っ込み、自分でバリカンを走らせていた。同僚の太田椋内野手は、その姿を目撃し「たしか、中嶋監督がお風呂に入っていたタイミングだったんですけど……。最後、自分で整えてましたよ」と驚いた。

 太田によれば「あの試合後、僕がウエートルームでトレーニングをしていたら、紅林が急に『あかんわ! 気合が入ってないわ!』って言い出して、髪を刈り出したんです。何を考えているのか、本当にわからないですね」とのこと。その後も「切り替えるなら丸刈りです! 打てますよ!」と周囲に笑みをもたらしている。

 髪を刈った後は太田と宮城の3人で食事に出かけ、他愛もない話で盛り上がった。時には自身のプレーを反省。悩みをバッサリと流し切った。自称「サマーカット」になった紅林は、一気に状態が向上。髪を刈ってからは10試合で35打数13安打の打率.371を記録。13日時点で.175だった打率は.267にまで上昇した。

“相棒”の宮城が、かつて丸刈りを披露していたことには「いやぁ……。もう、あれ、何年前でしたっけ? 2、3年前? あんまり覚えてないですね」とニコリ。ただ、紅林には「大切な1枚」がある。2022年4月21日のソフトバンク戦で自身初のサヨナラ打を放った時にプレゼントされた写真を、球団寮を退寮する際まで自室に飾り、士気を高めていた。

「どんなに苦しい時でも、僕たちは前を向いて。チームみんなで4連覇を目指してやっていくしかない」。全ての神経を研ぎ澄ませて締めくくった“Xゲーム”。そこには誰も教えてくれない、不振脱却の方法があった。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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