「足プルプルの腕ガチガチ」からの“進化” 23歳、杉澤龍…熾烈な外野陣に飛び込む「野心」

オリックス・杉澤龍【写真:北野正樹】
オリックス・杉澤龍【写真:北野正樹】

初回2死満塁でダイビングキャッチ…夕暮れの神戸を沸かせる

 白いユニホームに染み込んだ天然芝の「緑」が、鮮やかに映えた。オリックスの杉澤龍外野手は1日にほっともっと神戸で行われたロッテ戦に「8番・中堅」で今季初のスタメン出場。初回2死満塁のピンチで、前方に飛んできた打球をダイビングキャッチ。夕暮れの神戸で、笑顔が弾けた。

「野心です。(打球判断は)全然、迷うことはなかったですね。バットに当たった瞬間、前だと思いました」

 4月30日に今季初昇格。勝ち取った1軍切符を、離すつもりはない。雨でぬかるんだ芝生をスパイクの歯で押し切り、一瞬、宙に浮かんだ。左手のグローブを前に突き出すスーパーキャッチに、スタンドは拍手喝采。1つのプレーで、背番号33をファンの脳裏に刻んだ。

 プロ1年目の昨季は主にファーム暮らしが続き、2軍でチームトップの38打点を記録した。昨年9月14日の楽天戦(楽天モバイルパーク宮城)には「9番・中堅」でスタメン出場。5回に藤平からプロ初安打も放った。

 それでも、ルーキーだった昨季は「足プルプルの腕ガチガチでした(笑)」と振り返る。2年目の今季は「自分の中では『緊張しているなぁ……』という感じはなかったです。去年の震える感覚はないです。(変わったのは)メンタルの部分だと思います。すごく楽しめています」と力強い。

 中嶋監督も試合後に「(初回の)杉澤のプレーだったり、ベンチで盛り上がった部分もあります」と好プレーについて言及。ただ、杉澤は「(中川)圭太さんと(福田)周平さんが不在の期間だったので……。今、僕にとってはチャンスなので」と慢心はない。

 打撃面では3打数無安打だったため「振り過ぎている気がします。少しずつ(力感を)調整していければなと。徐々に……とは言っていられない立場。打つしかないです」。竹を割ったような性格も、魅力的なニューフェイスだ。

○真柴健(ましば・けん)1994年8月、大阪府生まれ。京都産業大学卒業後の2017年に日刊スポーツ新聞社へ入社。3年間の阪神担当を経て、2020年からオリックス担当。オリックス勝利の瞬間に「おりほーツイート」するのが、ちまたで話題に。担当3年間で最下位、リーグ優勝、悲願の日本一を見届け、新聞記者を卒業。2023年からFull-Count編集部へ。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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