打てない巨人、姿を見せなかったコーチ “2秒会見”の後で…帰宅せず取り組んだ対策

オリックスに敗れ、暗い表情を見せた巨人・阿部慎之助監督【写真:小林靖】
オリックスに敗れ、暗い表情を見せた巨人・阿部慎之助監督【写真:小林靖】

3連戦で10打数無安打、チームはわずか1得点で3連敗を喫した

■オリックス 4ー1 東京ドーム(9日・東京ドーム)

 巨人が本拠地・東京ドームでオリックスに3タテを食らった。9日に行われた3戦目は、相手先発で前日(8日)に支配下登録を勝ち取ったばかりの新鋭左腕・佐藤一磨投手に5回まで1安打無失点に封じられ、プロ初勝利を献上した。この3連戦を通じてわずか1得点と打線が湿り、特に4番の岡本和真内野手は計10打数無安打(1四球1死球)に終わった。

 3戦目の試合後、阿部慎之助監督は会見で「西川くん1人にやられちゃったかな」とポツリ。確かに、オリックスの西川龍馬外野手には、初回に右越え先制二塁打され、3回にも右翼線へ適時二塁打を浴びた。結局この3連戦で全試合4番に座った西川に、12打数5安打(打率.417)、4打点と打ちまくられた。

 この3試合だけで比較するのは、不公平で岡本和に気の毒だが、4番の働きが勝敗を分けた印象の強い3試合ではあった。阿部監督は「4番が打てば勝つ。これが野球だと思う」と言及した。

 阿部監督は5月28日に坂本勇人内野手を5番に据えた際には、「4番の岡本が勝負してもらえないのが一番嫌なので(5番に強打者を置いた)」と説明していたが、当時とはニュアンスが変わってきた。チームで1人気を吐いていた打者が、徹底マークされたり勝負を避けられたりしているうちに調子を落としてしまうのは、よくある話だ。

「切り替えて、来週勝てるように頑張りたいと思います」と岡本和。4月終了時点で.304だった今季打率は、.267(9日現在、以下同)に降下。それでも今季全60試合で4番を張り、リーグ2位の10本塁打、同3位の31打点をマークしている岡本和以外に、この打順の適任者はいない。

 阿部監督自身、現役時代に巨人の4番を張り、在任中の原辰徳前監督に「このチームはある種、慎之助のチーム」と言わしめたほど、絶対的な存在感を誇った。岡本和の巨人の4番としての通算出場試合数は、既に阿部監督の505試合を上回り、789試合に達しているが、まだまだ指揮官から学べることはありそうだ。

「リフレッシュをしっかりして、来週はいい1週間にしたい」

 岡本和にとって救いの1つは、3戦目の8回の最終打席に、オリックス5番手の本田仁海投手から痛烈な当たりの中飛を放ったこと。阿部監督は「最後の当たりとかはよかった。少し迷いとかもあるのかなと思いながら見ているのだけれど、なんとか割り切ってやってほしい。リフレッシュをしっかりして、来週はいい1週間にしたいので、僕も含めて、みんなで切り替えていくしかないかなと思います」と、責任を負う主砲の心境を思いやった。

 それにしても巨人打線は、前日の高卒2年目・斎藤響介投手に続き、2試合連続で相手の先発投手にプロ初白星を献上。しかも「5回1安打無失点」というところまで、前日の結果をコピーしたかのようだった。

 巨人のホームゲームの取材は、基本的に試合終了1時間半までとされているが、多くの首脳陣・選手が帰途に就いた中で、二岡智宏ヘッド兼打撃チーフコーチは姿を見せなかった。球場に残り、週明けの楽天3連戦(楽天モバイルパーク宮城)へ向けた資料づくりに取り組んでいるのだという。課題の得点力不足解消へ、チームぐるみの奮闘は続く。主砲のバットに当たりが戻ることが何よりの活性剤であることは、間違いない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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