同僚も舌を巻く怪物20歳「あいつヤバい」 菊池雄星も絶賛の逸材…2軍監督が語る現在地

西武・羽田慎之介【写真提供:産経新聞社】
西武・羽田慎之介【写真提供:産経新聞社】

期待される菅井、羽田、黒田の高卒3年目トリオ

 パ・リーグ最下位低迷をうけ、西武は松井稼頭央監督が5月末から休養し、渡辺久信ゼネラルマネジャー(GM)が監督代行として指揮を執っている。若手選手の成長による底上げが、今こそ期待されている。そこで、1軍投手コーチから転任3年目を迎えている西口文也ファーム監督がFull-Countのインタビューに応じ、期待の若手投手の“現在地”を語った。

 西口ファーム監督自身、現役時代には西武の開幕投手を5度務めるなどエースの座に君臨した。通算182勝を挙げ、最多勝2度、最多奪三振2度、ゴールデン・グラブ賞にも3度輝いた。その指揮官が“近未来の先発3本柱”として期待するのが、高卒3年目トリオ。菅井信也投手、羽田(はだ)慎之介投手、黒田将矢投手である。

 20歳左腕の菅井は今月2日、育成選手から念願の支配下選手に昇格。6日のヤクルト戦(神宮)で1軍先発デビューを飾り、5回2失点と上々の投球を披露した。今季イースタン・リーグでは9試合1勝2敗、防御率2.57(同日時点、以下同)の安定感を誇っている。「順調に育ってきています。体つきがしっかりしてきましたし、球速がアップしたことが一番大きいのではないか。左打者のインコースに投げこめるようになり、今は自信を持って打者と対戦できているのではないか」と西口ファーム監督は見ている。

 一方、5月11日に1軍初昇格を果たし、衝撃を与えたのが191センチの長身左腕、20歳の羽田だ。同14日の日本ハム戦(エスコンフィールド)の8回にリリーフで登板すると、安打や盗塁、捕逸が絡み1点を失ったものの、18球のうち14球を占めたストレートはMAX155キロをはじめ、全球152キロ以上を計測。体調不良で同18日に抹消されたのが惜しまれるが、強烈な印象を残した。

 その羽田は、生まれも育ちも地元埼玉・所沢市で、小学生の時にはライオンズジュニアに選出。生粋の“ライオンズブルーの血”が流れている。同じ左腕の西武の大先輩、現在はブルージェイズに所属する菊池雄星投手が自身のX(旧ツイッター)で、「リリースの強さが強烈。日本人左腕最速を更新するのは彼だと思います」と太鼓判を押しているほど。チームメートの今井達也投手、平良海馬投手も「ブルペンで153キロとか投げている」「あいつヤバい」と舌を巻く素材だ。

西武・西口文也ファーム監督【写真:宮脇広久】
西武・西口文也ファーム監督【写真:宮脇広久】

1軍の先発陣に強力なメンバーが揃っている今だからこそ…

 西口ファーム監督は「あの投げっぷりが羽田であって、羽田の魅力なので。そこは変えずに、ああいうスタイルでどんどん投げてくれればいいと思っています」と目を細める。今は細部にはこだわらず、「制球はアバウトでいい。(コースを)狙って狙ってとならずに、“だいたいあの辺り”にしっかり腕を振って投げればいい」とアドバイスを送っているという。「投げること以外に牽制や守備など、やっていかなければいけないことは多い」と指摘しつつ、大きく育てる方針だ。

 最速158キロのストレートとフォークが武器の20歳右腕・黒田は今季、イースタンでは1試合登板(1回2安打無失点)にとどまっている。西口ファーム監督は「今年はまだ力を出し切れていない。ストレートの制球力がよくないので、元に戻していかなければならない。投手コーチが気をつけて見てくれていると思います」と夏場以降の成長に期待を寄せている。

 2軍では他に、育成選手の23歳右腕・上間永遠(うえま・とわ)投手も先発で経験を積んでいる。1軍先発陣には今井、平良、高橋光成投手、隅田知一郎投手、5月の月間MVPを受賞したドラフト1位ルーキー・武内夏暉投手らが、強力なタレントが揃っている。だからこそ西口ファーム監督は、今のうちに次世代のエース級を準備しようと若手を手塩にかけている。

(倉林知子 / Tomoko Kurabayashi)

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