「最低年俸でもいい」古巣に送った逆オファー 指揮官に直訴も…届かなかった“ロッテ愛”
ロッテや巨人でプレーしたクルーズはメキシコ通算900安打に残り16本
ロッテや巨人などでプレーしたルイス・クルーズ内野手は、40歳となった今も母国メキシコで現役を続けている。Full-Countのインタビューでは、「今シーズンで引退する、最後の1年になるのではないかと思う」と明かす胸の内や、日本での指導者を選択肢に入れる未来図について語った。
母国のメキシコで妻と5人の子どもと幸せな暮らしを送っているクルーズ。リトルリーグでプレーする長男の指導をしながら、ウインターリーグ参戦の準備を行っているという。「残り16安打すれば、メキシコ通算900安打になる。それを今年達成して、やり切って辞めたいんだ」と“集大成”の決意を明かす。
本来であれば、30代最後だった昨シーズンで終止符を打つつもりだった。しかし三塁へのスライディングで膝を負傷。医者からは手術を勧められるほどの重傷だったが「年齢を考えても手術はせず、それで治るのに4か月くらいかかった。あまりいいシーズンを過ごせなかったので『まだやりたい、できる。こんな怪我で終わりたくない』と思った」ともう1年戦うことを決めた。
2014年に来日し、ロッテ、巨人、楽天でプレーした。2018年からはメキシコに戻っていたが、日本への思いが消えることはなかった。「その年から監督になった井口さんと何回か連絡を取って、『最低年俸でもいいから戻りたいよ』と言ったが、外国人枠もいっぱいでチームにも色々なプランがあるので叶わなかった。でもそのときから日本に戻りたい気持ちはありました」。なんと自ら売り込むほどだったのだ。
「本当は日本でもう一度やりたかった。ただ、なかなか運命というのは思い通りにいかないので残念なことでした」
日本での指導者を選択肢に…「過ごした時間が最高だったから」
現役引退をハッキリと見据える今、その後思い描くプランがある。「日本、米国のチームに履歴書みたいなものを送って、内野守備コーチとしてどこかで働きたいという意思を今持っている。まずは野球教室みたいなものでこれまでの経験を還元したいが、その後プロのチームで働ければ光栄です。日本が選択肢に入っているのはもちろん、日本で過ごした時間が最高だったからだよ」と笑顔を見せた。
14歳になる長男ルイスくんは、日本での生活をあまり覚えていないため「どんなところで暮らしていたのか見てみたい」と言うのだという。クルーズは「だから連れていきたい。千葉の球場も見せたいし、それ以外の日本の球場もね。それが野球を頑張っている彼のモチベーションにもなると思うから」と優しい父の顔をのぞかせた。
ロッテ時代の2015年には二塁手としてゴールデングラブ賞を獲得するなど、華麗な守備で沸かせたクルーズ。若手だった鈴木大地内野手や中村奨吾内野手にアドバイスを送り、成長の一端を担った。いつかまた、日本で若き才能を育てる日が待たれる。
(町田利衣 / Rie Machida)