交流戦初Vの楽天が突き進んだ18試合 接戦をモノにして勝率.722…“王者”までの道のり

楽天・今江敏晃監督【写真:荒川祐史】
楽天・今江敏晃監督【写真:荒川祐史】

楽天が交流戦初優勝…頂点までの軌跡

 5月末に開幕した「日本生命セ・パ交流戦 2024」は楽天が13勝5敗、勝率.722の成績で球団初の交流戦優勝を達成した。この頂点にたどり着くまでの18試合を振り返る。

1、DeNA(横浜)

 5月28日に横浜スタジアムで迎えた開幕戦は、交流戦連覇を狙うDeNAにじわじわとリードを許す展開。5点ビハインドの7回、楽天が2死満塁とし、代打・伊藤裕季也内野手でいざ反撃……というところで無情にも雨が強まり、1-6で雨天コールド負けとなった。

 2戦目の5月29日は太田光捕手の1号ソロで均衡を破ると、横浜高出身・渡邊佳明外野手が慣れ親しんだ球場で適時打を放つなど点差を広げる。投げては内星龍投手が5回無失点の好投し、4-0で勝利。チームに今季交流戦初白星をもたらした。

 3戦目の5月30日は初回に村林一輝内野手の2号ソロで幸先よく先制すると、1点を追う6回に鈴木大地内野手の適時二塁打などで逆転。7回には小郷裕哉外野手と辰己涼介外野手の適時打で突き放す。終盤1点差に迫られたが、宋家豪投手と則本昂大投手の無安打投球で6-5と逃げ切り、交流戦最初のカードを勝ち越した。

2、ヤクルト(福島、楽天モバイルパーク)

 2カード目の初戦は5月31日、福島・県営あづま球場にヤクルトを迎えた。7回に小郷の適時打で1点差に迫った楽天。9回1死から小深田大翔内野手と小郷に連打が出ると、代打の代打、マイケル・フランコ内野手が左中間へサヨナラ3ラン。5-3の逆転サヨナラ勝利でチームは今季初の3連勝を果たした。

 福島での一戦を終え、6月1日のヤクルト2戦目からは本拠地・楽天モバイルパークへ。3回に村林の3号3ランで先制し、7回には村林と辰己の連続適時打など一挙5得点で突き放す。先発・松井友飛投手は6回1失点で今季初勝利を挙げ、チームも8-2で4連勝となった。

 2日の3戦目はヤクルト・石川雅規投手から得点をあげられずにいると、0-4で交流戦2度目の降雨コールド負け。それでも、ヤクルト3連戦を2勝1敗で終え、交流戦2カードを連続で勝ち越した。

阪神に3連勝で乗った波

3、阪神(甲子園)

 3カード目は甲子園で行われた阪神戦。4日の1戦目は先発したコディ・ポンセ投手が6回3安打6奪三振1失点の快投を見せる。5回に村林の適時打で同点に追いつくと、試合は1-1で延長戦へ。延長10回、フランコの安打をきっかけに2死二塁とし、代打・茂木栄五郎内野手の決勝三塁打で勝ち越すと、小郷も適時二塁打で続き、3-1でまたしても逆転勝利をおさめた。

 5日の2戦目は先発した内が6回2失点も、打線が阪神・大竹耕太郎投手から得点できず。しかし0-2の8回、辰己が二塁打で出塁し、代打・阿部寿樹内野手の内野ゴロの間に1点を返す。そして9回、先頭の小深田の安打などで2死二塁から、小郷がライトスタンドへ逆転2ランを突き刺し、3-2で勝利した。

 6日の阪神3回戦は藤井聖投手が投打二刀流で躍動。2-1の4回、1点を追加しなおも2死一、二塁のチャンス。ここで藤井がプロ初安打初打点となる適時打で貴重な追加点を叩き出す。本業の投球はプロ入り最長の8回途中を投げ、3安打7奪三振1四球1失点の好投。4-1で勝利し、同一カード3連勝に貢献した。

4、中日(バンテリンドーム)

 中日との初戦は7日だった。初回、1番・小郷が大きな当たりで二塁まで進むと、辰己の内野ゴロの間に先制。2回には阿部が古巣から適時打を打ってみせた。投げては早川隆久投手、酒居知史投手、則本による無失点リレー。2点差で逃げ切り、2-0で勝利した。

 8日に行われた2戦目は打線がルーキー・古謝樹投手を序盤から援護。2点を追う2回、渡邊佳と太田の適時打で追いつき、小郷にはプロ初の満塁ホームランが飛び出す。援護をもらった古謝は2回以降、中日に得点を許さず。6回9安打2失点と粘り、7-2で勝利。古謝はプロ初勝利を手にした。

 9日の3戦目は阿部に先制の一発が出るも1-3で逆転負け。今季最長となっていたチームの連勝は「5」で止まった。

接戦を勝ち抜いて悲願のV

5、巨人(楽天モバイルパーク)

 交流戦最後の本拠地6連戦。11日の巨人1回戦は先発・ポンセが5回まで投げるも、本塁打3の6失点(自責点3)と苦しい展開に。しかし2-6の8回、7試合ぶりにスタメン出場した浅村栄斗内野手が5号2ランを打ち、続く9回に阿部の押し出し四球で1点差。すると、小郷がここでも勝負強さを見せた。2死満塁から逆転の2点適時二塁打で試合を決めた。7-6で勝利。終盤2イニングを抑えきった津留崎大成投手が4年ぶりの勝利投手になった。

 12日も打線の勢いは止まらず、初回からフランコに3ランが出るなど、打者一巡で5得点する。5-4で勝利。先発・内は6回2失点(自責点1)で3勝目。則本は巨人に1点差に迫られたが、同点は阻止し今季15セーブ目を挙げた。

 13日の巨人3回戦は4回にフランコが先制適時打。7回には辰己の適時打などで3-0とした。投げては5投手の継投で巨人打線を完封し、3-0で同一カード3連勝を飾った。

6、広島(楽天モバイルパーク)

 ラストカードは好調・広島との3連戦。14日の1戦目は早川と広島・大瀬良大地投手による息詰まる投手戦となった。早川は援護を待ちながら延長10回を投げ抜き、4安打11奪三振無失点と気迫の投球。ところが打線は走者を出すが決定打に欠いていると、延長11回に犠飛で1点を奪った広島に0-1で惜敗した。

 15日の広島2回戦は先発・古謝が先制を許すなど6回4失点。7回に太田の適時三塁打などで3点を返したが、反撃はそこまで。3-4と2試合連続で1点差で敗れ、交流戦開幕から続いていた連続カード勝ち越しも「5」で止まってしまった。

 ソフトバンクに12勝5敗で並ばれて迎えた16日の交流戦最終戦。2回、浅村と渡邊佳が連打すると、敵失で3点を先取する。3回には安打の辰己を一塁に置いて、4番・鈴木大がライトスタンドへ1号2ランを運び、勝利をぐっと引き寄せた。

 投手陣は先発・松井が3回無失点に抑え、その後は細かな継投で逃げ切りを図る。終盤に追い上げられたが、則本がラストバッターを三振に仕留め5-3でゲームセット。同率だった福岡ソフトバンクが阪神に敗れたため、楽天の球団初となる交流戦優勝が決定した。

 交流戦前後でチーム成績を比較すると、順位は5位から4位へ上がり、勝敗数は18勝26敗1分けから、31勝31敗1分けと勝率を5割に戻した。投打がかみ合って成し遂げた交流戦初優勝。レギュラーシーズン再開後も、この勢いに乗って「頂点」へたどり着けるか。

(「パ・リーグ インサイト」編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY