「プロをなめてはいけない」…2年目で苦しむ巨人・門脇誠へ 岡崎郁氏、背番号5の後継者へ送る助言

巨人・門脇誠【写真:矢口亨】
巨人・門脇誠【写真:矢口亨】

巨人の“生え抜き”での背番号5は1988年から96年まで付けた岡崎郁氏以来

 巨人期待の2年目、門脇誠内野手が苦しんでいる。遊撃手として開幕スタメンを果たすなど好スタートを切ったが、5月以降、攻守に精彩を欠き、新人の泉口友汰内野手にポジションを譲る試合が増えた。1988年から96年まで背番号5を付け、内野の中心選手だった岡崎郁氏は、打撃面の悩みが守備へ悪影響を及ぼし、さらに打撃を悪くしていると指摘。自身もヘッドコーチだった経験から、監督、コーチと未来を見据えた“狙い”を持ってコミュニケーションを取っていくことを勧めた。

 技術的な修正ポイントは、現職のコーチでないため、簡単なことは言えない。岡崎氏は門脇との接点はないが、これまで2軍監督や打撃コーチ、1軍ヘッドコーチを歴任してきたとあり、門脇の現状を心の面から分析をした。

「試合は1日3時間くらいありますよね。半分の時間を守っていると考えるとレギュラーなら1時間半は守備に使われる。打撃は4回あって、数分の世界。守備の1時間半を穏やかに過ごすためにはどうすればいいのか、考えてみてください」

 岡崎氏は優しい口調で語り出した。野球選手には肉体的な体力と、精神的な体力とがあるという。肉体的な体力は日々の練習、トレーニングで身に付けることができるが、精神的な体力は実際に目に見えるものではない。身に付いているのか、いないのかが分かりづらい。

「打撃が安定していれば、守備の時に精神的な体力を削られることはありません。不安を抱えていると守備の1時間半もの間、ずっと削られている。人によるが、年間を通してだとパフォーマンスの差は出てくると思います。それで疲弊している人も多いと思う」

 実際に岡崎氏はどうだったのか。「自分は元々、厚かましい性格」と冗談混じりに振り返るが、守備のミスで精神的な体力が削られることはなかったという。

「あんな打球が来たらエラーするわ!と思っているタイプ。そういう考え方です。逃げているのではなく、自分を楽にするためにそうしていました。なかなか人には言えないですが、そういう厚かましさ、逃し方は必要なのではないかと思います」

元巨人・岡崎郁氏【写真:矢口亨】
元巨人・岡崎郁氏【写真:矢口亨】

アマチュア野球とプロ野球を一緒にしてはいけない、打球速度が違う

 門脇のように鉄壁を誇ってきた選手の失策と、失策数が多い選手とでは、その一つの大きさ、心に与える影響は違うだろう。守備が売りである選手にしかわからない境地であることも、もちろん理解はしている。まだ2年目、入団したばかりの選手であるからこそ、自分自身で精神的に追い込まないでほしいという思いがある。

「プロ野球という高いレベルでやっているのだから、エラーだってしますよ。だから、なぜあの球が捕れなかったのだろう?と言われたなら、プロの打球がすごいからですよ。ただ、試合後に、一歩目が遅れたなとか、集中しすぎたとか、エラーの原因の分析は重要です。プロの打球をなめちゃいけない。けど、難しいとも思ってはいけないです」

 阿部慎之助監督は開幕からレギュラーとして、門脇を起用していくことを決めた。しかし、不振から最近では社会人卒のルーキー・泉口との併用になっている。同じ右投左打のタイプの選手。今後の起用はどのようになっていくのだろうか。

「監督の中では、良いパフォーマンスを発揮する確信がないから、刺激を与えている段階だとは思う。門脇の方を泉口よりも上に見ていて、うかうかしていると追いやられるぞ……というような刺激です。プロの世界はそんなに簡単にはいかないですよ。首脳陣から見ると4月、5月は試せる期間。6、7月は戦力の見極め。そして8、9月が勝負。ここからはきちっとしたメンバーになってくる」

 精神的な体力が削られないようにするには、やはり打撃の復調がキーになりそうだ。経験則からわかるのは、ただ一つだけ。岡崎氏は言い切る。

「バッティング(の向上)はいいバッティングコーチ、彼のタイプに合う人に巡り会うしかない。二岡ヘッドなのか矢野打撃コーチなのか……。ただ二人とも右打者だから、そういうところも関係はしてくる。左打者の阿部監督が時々、教えているのかな。そして、門脇にどういうタイプの選手になってほしいのか、成形すること。双方でイメージして、そこになるためにはどうしたらいいかって逆説的に考えてあげていってほしい」

 なりふり構わず、一生懸命に練習をしても、無駄な努力になってしまう恐れがある。例えば、2番打者になりたい、その2番打者のイメージはどういうものか、監督が求めている2番打者はどうなのか……それが合致した時に、選手の方向性が見え、力が発揮できるという。「それが大事なコーチの仕事です」。岡崎氏は“後輩”でもある現職の首脳陣に思いを託した。

○著者プロフィール
楢崎 豊(ならさき・ゆたか)
1980年3月、東京都生まれ。2002年報知新聞社入社。巨人、横浜の球団担当記者ほか、アマチュア野球、約3年間、ニューヨーク・ヤンキース中心のメジャーリーグを担当。雑誌「報知高校野球」や「月刊ジャイアンツ」の編集者を経て、2019年からFull-Countで執筆。Full-Count編集長を経て、メディア事業本部長・Full-Count Executive Editor。少年野球などの悩みを解決する野球育成サイト「First-Pitch」でもディレクションを行う。

(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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