忘れられないマチャドからの“心遣い” 才木海翔が振り返る…ドキドキのプロ初登板

オリックスのアンドレス・マチャド(左)と才木海翔【写真:北野正樹】
オリックスのアンドレス・マチャド(左)と才木海翔【写真:北野正樹】

オリックス・才木海翔が忘れない、マチャドからの心遣い

 窮地を脱するアドバイスが身に染みた。オリックスの2年目右腕、才木海翔投手はプロ初登板で舞い上がった心を静めてくれた助っ人のアンドレス・マチャド投手に感謝の気持ちを忘れない。

「あれで落ち着きましたね。気持ちが楽になったわけではないですが『頑張ろう!』と思えた瞬間でした」。プロ初登板となった5月26日の西武戦(ベルーナドーム)でのブルペンでの出来事を、才木は昨日のことのように振り返った。

 やっとつかんだチャンスだっただけに、出番が来る前から緊張感でいっぱいだった。才木は大経大から2022年の育成ドラフト2位でオリックスに入団し、プロ2年目の5月25日に支配下登録されたばかり。マウンドでは投げ終わってから帽子が斜めになってしまうほど、力いっぱいに強気で攻めるスタイルだが、ブルペンでは不安な時間を過ごすと。

 表情の硬さや仕草で緊張感を感じ取ったマチャドが、椅子に座っていた才木の前で腰をかがめ、「ワン、ツー、スリー」と深呼吸するように指で示し、帽子を脱がせて才木の頭を両手で包み込んだ。さらに、出番が近づきブルペンで投げ込む前に落ち着かず歩き回る才木に再び駆け寄り、深呼吸を促しリラックスさせてくれた。

「登板前には、厚澤(和幸投手)コーチから『腕を振るんだぞ。抑えるだけだから』と声を掛けていただきましたが、舞い上がっているというか……気持ちに余裕がありませんでした」。深呼吸で落ち着いた才木は0-0の6回から登板し、1回を13球で無安打無失点デビューを飾ることができた。

 マチャドも自然体で「僕も初めてメジャーに呼ばれた時には(胸が)高ぶり、興奮したことがあった。彼も同じように見えたんだ」と話す。その後も才木の登板前には、両手を胸の前から3度も降ろして深呼吸をするようにジェスチャーを送ってくれる。

仲間からの“激励”で前を向けた夜

 マウンドで結果を残せなかった時には、首脳陣や野手が手を差し伸べてくれた。本拠地の京セラドームで行われた6月1日の中日戦。1-0の9回から5番手で登板したが、4安打を浴びて逆転を許し、2死を取っただけで降板。敗戦投手になった。

 降板後には冷静な口調で「1点もやれない、ホームランもダメな場面。(マウンドで)今までにない感情が出て、それをどう処理していいのかわからなくなってしまいました。力不足です」と涙で頬を濡らした。

 ベンチでは新人の古田島成龍投手や宗佑磨内野手が肩に手を当ててねぎらってくれたほか、マウンドを託してピンチを断った山田修義投手は横に座って声を掛け続けてくれた。厚澤コーチや平井正史投手コーチからも「ここから頑張るしかない」「この思いを無駄にするな」とアドバイスを受け、中川圭太内野手からも「次はもっと腕を振って頑張れ」と声を掛けてもらった。

 その後の2試合でも失点を重ねたが、6月15日のヤクルト戦(京セラドーム)で、1回を3人で片付け、6月26日のソフトバンク戦でも今宮健太内野手から始まる強力打線を1回無安打無失点に抑えた。

 登板機会がなかった期間に投球フォームを修正した。「今まで力任せに投げ込んでいたのですが、それではバッターも合わせやすいと思うので、意識的にゆったりとしたフォームで投げています。マウンドに上がる前には古田島さんから『行ってこい!』と勇気をもらい、マチャドさんのアドバイスで落ち着いて投げられるようになりました。これからも任された場面で、ちゃんと仕事をしたいと思います」。感謝の思いを胸に、腕を振る。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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