インスタ通じてイジリ&激励 「特別な関係」藤浪晋太郎に北條史也が願う「お互い長く」

三菱重工Westの北條史也(左)と藤浪晋太郎【写真:町田利衣、Getty Images】
三菱重工Westの北條史也(左)と藤浪晋太郎【写真:町田利衣、Getty Images】

阪神戦力外の北條は三菱重工Westへ、都市対抗のトヨタ自動車戦で120m弾

 いつまで経っても、どこにいても、大切な仲間であることには変わらない。昨季限りで阪神を戦力外となり社会人野球の三菱重工Westに加入した北條史也内野手が、東京ドームで行われた「第95回都市対抗野球大会」に出場。8強で姿を消したが、新たなステージでの戦いに、かつての仲間たちからも多くのエールが届いた。中でも、「特に仲が良かったし、特別な関係ではありました」と語った相手が藤浪晋太郎投手だ。

 北條はトヨタ自動車戦で120メートル弾など2安打5打点と活躍した。すると藤浪が自身のインスタグラムのストーリーズで「ネオフライト、使うなて」と光星学院高時代に北條が使っていた金属バットを出して“イジリ”。「応援してる」と温かい言葉も添えられていた。

 これに北條も「ネオフライトめっちゃええで」と呼応。仲睦まじい様子が伝わってくるやり取りだった。「やられたので、僕もメンションし返して。普段そんなに連絡は取っていないんですけど、ああいう表でのやり取りが多いです」と笑顔で明かした。

 さかのぼれば光星学院高3年時、甲子園決勝で藤浪擁する大阪桐蔭高に敗れた。ともに大阪府出身で、第25回AAA世界野球選手権大会では揃って日の丸を背負い、2012年ドラフトで1位が藤浪、2位が北條で同じタテジマのユニホームに袖を通すことになった。

「野球、好きですね。難しいですけど、難しいからこそ正解はない」

 同期であり同学年。ポジションこそ違えど、切磋琢磨し合ってきた。2022年まで10年間はチームメート。2023年から藤浪は海を渡り、2年目の今季はメジャー出場なく出場前提となる40人枠を外れ、3Aシラキュースに残留することになった。一方で北條も2023年限りで戦力外となり、NPBを去った。30歳を迎え、決して順風満帆とは言えない道のりも、盟友の存在は刺激だ。北條は、噛みしめるように言った。

「あいつが見ていてくれたんだなと思ったらうれしいですし、頑張ろうという気持ちにもなる。あいつにも長く野球をやってほしい。どこでやるかとかは別として。自分もそうですし、お互い。そういう気持ちです」。

 藤浪だけじゃない。梅野隆太郎捕手やOBの糸井嘉男氏も、自身のインスタグラムで北條の活躍を称えていた。「僕もプロのときから都市対抗はテレビでやっていたりして見ていましたし、そうやってたぶん見てくれいるんだと思います」とうれしそうに微笑んだ。

 社会人では珍しい“プロ契約選手”として、北條は社業を兼任せず野球に専念する。その分大きな重圧を背負うが、津野祐貴監督が「野球に対する取り組み方とゲームに対する準備の仕方。その辺は素晴らしいものがあります。あとは技術が非常に高いので、走攻守全てでチームの勝利に貢献してくれています」と証言するように、多くの経験を還元している。

「やっぱり……野球、好きですね。難しいですけど、難しいからこそ正解はないというか、もっと練習しないといけないし、その練習で結果が残ったらうれしいし、ずっと続くことかなと思います」と北條。舞台は変わっても、旧友たちに負けじと努力を続ける。そんな姿がまた、誰かの力になると信じている。

○著者プロフィール
町田利衣(まちだ・りえ)
東京都生まれ。慶大を卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。北海道総局で日本ハム、東京本社スポーツ部でヤクルト、ロッテ、DeNAなどを担当。2021年10月からFull-Count編集部に所属。

(町田利衣 / Rie Machida)

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