中日の低迷脱出へ…専門家が疑問視した“選手起用” 必要な「前向きな視点」

中日・立浪和義監督【写真:小池義弘】
中日・立浪和義監督【写真:小池義弘】

オリ、鷹などでコーチを歴任した新井宏昌氏「投手陣は十分戦える」

 中日は今季、開幕直後の4月中旬に首位を立った時期があったが、現在は借金12で5位。2013年から昨年までの11年間でBクラス10度の低迷から抜け出せていない。強化に必要なものとは何か。オリックス、ソフトバンク、広島などで打撃コーチなどを歴任し名伯楽と呼ばれた野球評論家・新井宏昌氏が分析する。

 中日はこれまでも、投手陣に関しては強力な陣容を誇ってきた。今季も高卒4年目の高橋宏斗投手が自己最多を更新する11勝(2敗)を挙げ、防御率0.98と成長著しい。新井氏は「来季へ向けても、絶対的な守護神のライデル・マルティネス投手が残留することが大前提になりますが、今季振るわなかった大野雄大投手、柳裕也投手らが実力を発揮できれば、十分他球団と戦えると思います」と見る。

 問題は課題の得点力をどう上げるか。29日の広島戦(バンテリンドーム)では、現役ドラフトでDeNAから移籍して2年目の4番・細川成也外野手が17号2ランを放ち、昨季途中にトレードで日本ハムから移籍した5番・宇佐見真吾捕手が2号2ランと犠飛で3打点。優勝争いの真っ只中にいる広島に5-1で快勝した。「細川、宇佐見も貴重な戦力ですが、もっと生え抜きの選手が育って主軸として張っていくようにならないと、強いチームにはなれないと思います」と新井氏は指摘する。

 生え抜きの若手期待株と言えば、一昨年に最多安打のタイトルを獲得しながら今季は打率.241の岡林勇希外野手、この日「6番・一塁」でスタメン出場していた石川昂弥内野手、「7番・遊撃」で3安打をマークした村松開人内野手ら。岡林に関しては7月下旬まで今季打率1割台を低迷していたのに比べれば、8月の月間打率.323と復調の兆しも見える。

「これと見込んだ選手をもっと使い続けたらどうかな」

 新井氏にとって中日の立浪和義監督、片岡篤史ヘッドコーチは大阪・PL学園高の後輩にあたる。「立浪監督と話していると、もどかしい思いがあるのでしょうが、どうしても『この打者は速い球に弱くて……』『真っすぐには強いのですが、変化球に弱くて……』と後ろ向きな言葉が出てきてしまう。試合での起用を見ていても、失敗してもいいからと信頼して背中を押しているというより、使ってみてダメなら、すぐ他の選手に代える──という印象を受けます」と新井氏は言う。

「もちろん選手の長所と短所を把握することは指揮官として大事なことですが、これと見込んだ選手を前向きな視点で見守りながら、使い続けたらどうかなと思います。その中で不動のレギュラーとしてチームを引っ張っていく選手をつくってほしい」と提言する。

 就任後2年連続最下位で、今季も下位に腰を据えてしまった感のある立浪監督だが、来季以降の浮上へ向け、きっかけをつかんでおきたいところだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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