「頼っているようではだめ」 “脱ベテラン依存”提言も…西武・栗山に指揮官「役者が違う」

西武・渡辺久信監督代行【写真:小池義弘】
西武・渡辺久信監督代行【写真:小池義弘】

西武・栗山は8回に代打逆転1号2ランで勝利に貢献した

■西武 2ー1 日本ハム(31日・ベルーナドーム)

 西武は8月31日、ベルーナドームで行われた日本ハム戦に2-1で勝利。8回に代打・栗山巧外野手が放った逆転2ランが試合を決めた。渡辺久信監督代行は勝負強さをみせた40歳のベテランに「終わってみれば役者が違う」と改めて敬意を示した。

「終盤になっていましたし、1点差でチャンスが来ればいつでも代打の用意というか。クリ(栗山)もね、ずっと裏で準備していたので。1球で仕留めてくれるところで、本当に素晴らしいバッティングだったと思います」

 0-1の8回、外崎修汰内野手の左翼線二塁打と犠打で1死三塁。古賀悠斗捕手は遊ゴロに倒れ2死となったところで“役者”が登場。栗山は代わったばかりの左腕、河野竜生投手の初球の146キロを狙い澄ましたかのように狙い撃ち、右翼席への劇的1号2ランとした。

「ああいう場面で打ち損じることなく一発で仕留める。あれがファウルになっちゃったら、また全然状況は変わってくるので。高めのボール気味の球かな。ああいう形で、最高の形ですよね」

 渡辺監督代行からの賛辞は尽きなかった。通算2145安打を誇る孤高のヒットマンの存在の大きさを実感した。

渡辺監督代行は脱帽「ベテランの集中力ですよね」

 ゼネラルマネジャーも兼任する渡辺監督代行。5位に終わった昨季オフには「いつまでも栗山と中村(剛也)の両ベテランに頼っているようではだめ。もっと若い選手が出てこないと」と繰り返し、“脱ベテラン依存”を掲げていた。

 この先を期待される若手が多いなか、シーズンを通して突き抜ける若獅子はでてきていない。チーム打率.207(8月31日時点)は12球団ワースト。チームの攻撃力不足は解消されていないのが現状だ。中村剛は現在は2軍で調整中だが、稀代のホームランアーチストとパ・リーグ現役最多安打の栗山の存在は不可欠だ。

「やっぱり1打席にかける集中力かな。ベテランの集中力ですよね。1打席と限られた中でああいう結果を出すっていうところがさすがですよね。終わってみれば役者が違うって感じです」

 渡辺監督代行は栗山に改めて最敬礼。チームは前日の8月30日にクライマックスシリーズ(CS)進出の可能性が消滅していた。翌31日はある意味で“節目”だった。負けていたら意気消沈していたかもしれない大事な一戦で、ファンに歓喜をもたらした、まさに千両役者の劇的アーチだった。

○著者プロフィール
湯浅大(ゆあさ・だい)
東京都生まれ。成城高、法大を経て1997年に産経新聞社に入社。サンケイスポーツで野球、サッカーなどを担当。主にMLB、DeNA、西武などを取材した。2023年11月からFull-Count編集部に所属。

(湯浅大 / Dai Yuasa)

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