コールド勝ちも「何やってんだ!」 ベンチで飛んだ喝、侍J指揮官が1点に込めた“怒り”
今大会初失点…侍U-18代表・小倉全由監督から飛んだ“ゲキ”
指揮官から笑顔が消えた瞬間だった。台湾で開催されている「第13回 BFA U18アジア選手権」で、侍ジャパンU-18日本代表は3日、スリランカと対戦。20-1で5回コールド勝ちを収めた。オープニングラウンド2連勝で、6日からのスーパーラウンド進出を決めたが、小倉全由監督から珍しく“ゲキ”が飛んだ。
3点リードで迎えた3回、振り逃げと中前打、野選で1死満塁のピンチ。続く打者のゴロを、遊撃の花咲徳栄・石塚裕惺内野手(3年)が捕球したものの二塁へのトスが乱れた。この間に1点を許し、日本代表が今大会初失点を喫した。
「何やってんだ!」。1失点でしのぎ、ベンチに戻った選手に小倉全由監督からゲキが飛んだ。「点の取られ方がね……。何やってんだ! って言ったんですよ。0点に抑えなきゃいけないとか、そんなんじゃないだろって。アウトを取れるところをしっかりと伝えました」と、試合後に語った。
「自分のチームだったらもうちょっと大きい声出すんですけどね。そこは我慢しながらですけど、厳しくね」。笑いながら話したが、言葉には力強さがある。「力の差があるというのはアレですが、そういうチームとやる時に相手に1点でも取られてはいけない、何点差で勝たなきゃいけないと思いこんでしまうと、逆に自分たちが固くなってしまうんです」。名門・日大三を率いてきた知識と経験がそこにはあった。
二塁を守った健大高崎の高山裕次郎内野手(3年)も、試合中に声を荒らげる姿を見ることはなかったと話すほど、このチームでは珍しい場面だった。高山は小倉監督の指導について「野球の内容というよりも、試合に向かう姿勢などを学んでいます。とても参考にしています」と語る。
日大三の監督時代から笑顔が印象的な小倉監督。いつの時代も選手たちからの信頼は厚い。その理由のひとつが見えた気がする。
(木村竜也 / Tatsuya Kimura)