安達了一、難病とも戦った13年 1イニング3失策が決意の夜…「守れなくなったら引退」
オリックス・安達了一【写真:北野正樹】オリックス・安達了一「あのエラーがなければ辞めてはいません」
病によるピンチは何度も乗り越えたが、守備の不安には勝てなかった。オリックスの安達了一内野手兼任コーチが24日に行われた本拠地・京セラドームでの最終戦(西武戦)に出場し、13年の現役生活の幕を下ろした。
「あのエラーがなければ辞めてはいません。守備が問題だったんです。今ですか? 大丈夫じゃないですよ。大丈夫だったら続けているんで」。ユニホームを脱いだ安達が、改めて引退を決断した理由を説明した。
安達が振り返ったのは、5月1日のロッテ戦(ほっともっと神戸)。3-1で迎えた9回の二塁守備から出場したが、雨の降るコンディションの中、1イニング3失策を犯してしまった。この回、5点を奪われ、NPB通算250セーブに王手をかけていた平野佳寿投手は降板。チームも逆転負けを喫してしまった。
「自分では『病気を抱えながらよく頑張った』という思いはありませんね」
ストレスなども原因といわれ、多くの人が同じ病で苦しんでいるのも初めて知った。本来なら明かす必要のない個人情報だが、「知られたくないという思いはなかったですね。今も結構(罹患している人が)多いと聞きますし、みなさんに(病気を)知ってもらった方がいいと思いました」。ファンだけでなく、同じ病気を抱える人から球団に届いた手紙なども励みになった。
2016年は4月にチームに戻り、球団や首脳陣の理解で体調面を考慮した起用をしてもらって118試合に出場。403打数110安打、打率.273で復帰を果たした。しかし、2017年9月に収まっていた病状が悪化し、再入院。2022年の日本シリーズ当時も、体調不良に陥ったという。
完治することはない病気だけに、体調面に気を付けながらプレーを続けてきた9年。「最近はアルコールも飲むようになりました」というほどだから、病気と折り合いをつけ体調をコントロールする術も身に付けた。「自分では『病気を抱えながらよく頑張った』という思いはありませんね」と難病との両立を特別なものとしては考えていない。状況を読んだ広い守備範囲で数々のピンチを救い、絶妙なバントや芸術的な右前打、進塁打でチャンスを作ってきた名選手は最後まで謙虚だった。
(北野正樹 / Masaki Kitano)