ベッツが明かした苦悩 29の0で“戦犯扱い”…封じたSNS「ネガティブなものばかり」
第3戦まで29打席無安打「SNSをオフにしなければならなかった」
【MLB】ドジャース 8ー0 パドレス(日本時間10日・サンディエゴ)
笑顔はなかったが、心なしかホッとしたようにも思えた。ドジャースのムーキー・ベッツ内野手は9日(日本時間10日)、敵地・パドレスとの地区シリーズ第4戦で先制ソロを含む2安打2打点の活躍で勝利に貢献した。前日8日(同9日)の第3戦で1号を放つまで、プレーオフでは29打席無安打。呪縛が解け、「やっと着地点を見つけた」と安堵の表情を浮かべた。
もがきながらバットを振り続けた。6日(同7日)の第2戦では初回に特大飛球も左翼・プロファーが本塁打キャッチ。Hランプは灯らず、ドジャースタジアムで安打を放つことはできなかった。第3戦を前にした7日(同8日)の練習日にはデーブ・ロバーツ監督と緊急会談。その後、400スイング以上をこなした。
「正直いうと、ドック(ロバーツ監督の愛称)のメッセージは覚えていない。とても前のことのようだ。ただ、ちょっと自信をつけるだけで良かったんだ」
大都市ロサンゼルスに本拠地を置く人気チームの主力。シーズン中いくら活躍してもプレーオフで打たなければ厳しい目で見られる。2022年のパドレスとの地区シリーズ第3戦の第2打席から29打席無安打。チームもその間1度も地区シリーズを突破できず、SNSにはベッツを“戦犯扱い”する声も多かった。厳しい声を耳に入れないことはできなかった。
「SNSは全てネガティブなものばかりだったから、オフにしなければいけなかった。そして、自ら前向きな気持ちを作らないといけなかった」
王手をかけられた状況に変わりはないが、ベッツの表情は以前とは違う。初安打を放った第3戦から打率.444(9打数4安打)、2本塁打3打点、OPS1.556をマークしている。「俺たちには第5戦がある。それだけに集中している」「自分自身とチームメートたちに自信を持っているし、私たちは大丈夫だ」。大谷翔平投手とともに頼もしい1、2番コンビが戻ってきた。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)