大谷翔平、衝撃の打率.800の裏で…まさかの「0/19」 専門家分析、極端な傾向のワケ

メッツ戦に出場したドジャース・大谷翔平【写真:ロイター】
メッツ戦に出場したドジャース・大谷翔平【写真:ロイター】

NPB2038安打の新井宏昌氏「強振にこだわらずコンタクトしている」

 ドジャースの大谷翔平投手は14日(日本時間15日)、本拠地で行われたメッツとのリーグ優勝決定シリーズ(7回戦制)第2戦に「1番・指名打者」で出場し、3打数無安打2四球2三振。チームは3-7で敗れ、1勝1敗のタイとなった。大谷は地区シリーズを含めたポストシーズン7試合で、驚異の得点圏打率.800を誇る一方、走者なしの場面では19打数ノーヒットという、極端なデータが出ている。

 大谷はこの日、メッツ先発の左腕ショーン・マナイア投手に対し、第1打席と3回先頭の第2打席で連続三振。5回2死での第3打席は一飛に倒れた。それでも7回1死で迎えた第4打席は、2番手の右腕フィル・メイトン投手から四球。4点ビハインドで迎えた9回無死二塁での第5打席も、メッツの守護神エドウィン・ディアス投手から四球を選び、チャンスを広げた。

 ポストシーズンに入ってからの大谷の成績は、打率.222(27打数6安打)、1本塁打5打点だが、塁上に走者がいる場面に限ると、打率が.750(8打数6安打)に跳ね上がる。特に走者が得点圏にいる時には、打率.800(5打数4安打)、1本塁打5打点2四球と滅法強い。5日(日本時間6日)のパドレスとの地区シリーズ第1戦で、2回2死一、二塁で同点3ランを放ったのは象徴的だ。

 現役時代にNPB通算2038安打を放ち、現在MLB中継の解説も務める新井宏昌氏は「走者がいる時の大谷は、強振にこだわらず、確実にコンタクトしようという意識が強く表れています。初めてのポストシーズンで集中力が増していることもうかがえ、それでいてりきんでいない。コンタクトさえすれば、人一倍打球が飛ぶ選手なので、いい状態だと思います」と指摘する。

レギュラーシーズンでは走者なしでも打率.311、32本塁打

 対照的に、走者がいない場面では19打数無安打2四球。打数の半数以上にあたる10三振を喫している。新井氏は「ホームランや長打を期待される大谷なので、しっかり自分のスイングをしようという気持ちが多少表れているかもしれませんが、おそらく巡り合わせによるもので、気にする必要はないと思います。大谷自身もそのデータは意識していないでしょう」と見ている。

 今年のレギュラーシーズンでは、走者がいない場面でも打率.311(376打数117安打)、32本塁打と猛打を振るった。一方、走者が得点圏にいる時には、打率.283(145打数41安打)、8本塁打。決して弱くはなかったが、さすがにポストシーズンに入ってからほどの無双ぶりではなかった。

 チームとしては、1番打者の大谷に走者がいない場面でもチャンスメークしてもらえるに越したことはないが、ポストシーズンに入ってからもトータルの打率こそ低いが、5四球を選んでおり、出塁率自体は.344と高い。新井氏は「デーブ・ロバーツ監督は第3戦以降も、出塁率が高くて、一発長打も足もある大谷に、最も打席が多く回ってくる1番を任せたいと考えていると思いますよ」と察する。

 いずれにせよ大谷としては、早めに“走者なしではノーヒット”のジンクスを打ち破っておきたいところだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY