32歳エースを見て感じたプロの“投球術” 山下舜平大が目指す理想像「もっと実力を」
オリックス・山下舜平大が目指す「チームを勝たせる投手」
オリックスの山下舜平大投手が「チームを勝たせる投手」を目指して、今オフのリハビリやトレーニングに取り組んでいる。「もっとチームに勝ちを引き寄せられるような投球をしたいと思います」。球団施設のある大阪・舞洲で表情を引き締めた。
2023年に9勝(3敗)を挙げてパ・リーグ新人王に輝き、飛躍を誓って臨んだプロ4年目の今季は3勝6敗と伸び悩んだ。プロ入り初のブルペン待機も経験し、8月中旬以降は先発で3連勝と復調の手掛かりはつかんだ。
調子を上げた終盤で、山下の脳裏に刻まれた試合がある。ソフトバンク・有原航平投手と投げ合った、9月13日のソフトバンク戦(京セラドーム)だった。ともに7回を投げ、山下の被安打5、8奪三振、2与四球に対し、有原は被安打9、本塁打1、5奪三振、1与四球だった。
有原は走者を出した6イニングのうち、失点は味方失策と、ソロによる2度だけ(自責点1)。一方の山下は走者を許した4イニングのうち3度失点していた。結果は毎回のように走者を背負った有原が12勝目を挙げ、山下に勝ち負けはつかず4連勝とはならなかった。
「有原さんはピンチが結構、たくさんあったんですが。そんな中でも(多くのイニングを)ゼロに抑えていくのが、勝てるピッチャーの特徴なのかなと思いました」と、自身の投球との差を痛感したと語る。「ピッチャーにはピンチは絶対にある。そこをどう抑えるか。まだ、自分の技量が足りないと思います」と続けた。今季、日本ハム・伊藤大海投手と並ぶ14勝を挙げ、2度目の最多勝に輝いたプロ10年目右腕の投球術は大いに参考になった。
反省ばかりではない。山下は、次の登板となった21日の日本ハム戦(京セラドーム)で6回を被安打4、12奪三振、2与四死球、失点1。2安打と死球で招いた2回無死満塁のピンチを空振り三振、見逃し三振、空振り三振で切り抜けるなど、走者を出した3イニングで失点は1度だった。打線の援護を欠き勝ち星に恵まれなかったが、修正力の高さを見せつけた試合だった。
満足のいく数字は残せなかったが、右肩上がりで終えたシーズン。現在は腰痛と向き合いながらリハビリ生活を続ける。「対バッターで負けないように、もっともっと実力をつけたい」。大器が、再び飛躍する日に備える。
○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)