MLB人気に「正直悔しい面も」 桁違いの契約、移籍続々…日本一オーナーの“危機感”
DeNA南場オーナー「同じ野球、MLBが盛り上がることもマイナスではない」
26年ぶりの日本一に輝いたDeNAの南場智子取締役オーナーと三浦大輔監督が11日、日本記者クラブで会見を行った。ソフトバンクを4勝2敗で下した日本シリーズは、大谷翔平投手らが出場したワールドシリーズと日程が“丸被り”していたことも記憶に新しい。近年では多くの選手が米移籍を目指して飛び立っていく。日本最高峰の戦いを制した南場オーナーは何を思うのか。
「メジャーばかりが栄える傾向がみられる」という質問に、まず「日本のプロ野球は素晴らしいと思いますので、日本には日本のよさがあると思っています」と強調した。満員のファンの盛り上がりを肌で感じたからこそ、伝えたかったことだ。その上で「同じ野球というスポーツですので、メジャーリーグが盛り上がることも決してマイナスではない」と意味があることだとした。しかし、本音も覗いた。
「そうはいっても、実際に活躍している選手が海を渡る。海を渡ると年俸が桁違いになる。たった10時間飛行機に乗っただけで、というところは正直悔しい面もあります。それは日本のプロ野球の産業としての発展というのをもっと真剣に取り組む、発展させていく必要があります」
2015年にプロ野球初の女性オーナーとなって10年。エキサイティングなチームと強固な経営基盤を掲げ、人気チームに、そして強いチームに押し上げてきた。「それら2つ(エキサイティングなチームと強固な経営基盤)は別物ではなく、もっと選手に報いたりもっと練習環境をよくしたりして、日米のギャップも小さくしていくことが重要だとやはり感じますので、その意味でも事業としての発展、産業としての発展は達成しなくてはいけないことだと思っています」と今後の課題を口にした。
三浦監督は「メジャーに対抗しているわけではない。日本のプロ野球チームが熱い戦いをすれば、それだけ日本のプロ野球ファンも注目してくれる。日本の野球界をもっともっと盛り上げていけるようにというのは常に考えています」と話す。まずは目の前にある自分たちの野球を盛り上げ発展させていくこと。それぞれの現場に立つ2人は、同じところを見ていた。
(町田利衣 / Rie Machida)