7度も来館、イチロー氏が“野球の歴史”に抱く敬意 米殿堂館長が明かす感謝の思い【マイ・メジャー・ノート】

Full-Countの取材に応じた野球殿堂博物館の館長、ジョシュ・ラウウィッチ氏【写真:木崎英夫】
Full-Countの取材に応じた野球殿堂博物館の館長、ジョシュ・ラウウィッチ氏【写真:木崎英夫】

米野球殿堂博物館のジョシュ・ラウウィッチ館長が特別メッセージを寄せた

 2025年度の米野球殿堂入り候補者が18日(日本時間19日)に発表され、マリナーズなどで活躍し、殿堂入りの指標とされる通算3000安打を達成しているイチロー氏が投票用紙に名を連ねた。他には、ヤンキースなどでプレーし通算251勝を挙げたCC・サバシア氏ら計14人が今回、初めて投票対象となった。【クーパーズタウン(米ニューヨーク州)=木崎英夫】

 日米通算4367安打を誇るイチロー氏が、来年1月21日(同22日)の選出者発表で殿堂入りを果たせば日本人選手初となるが、新たに候補者入りした年に殿堂入りする「一発合格者」としては史上17人目、また、満票での選出となれば、2019年のマリアーノ・リベラ氏以来、史上2人目となる。

 ニューヨーク州クーパーズタウンにある米野球殿堂博物館のジョシュ・ラウウィッチ館長がこの日、フルカウントに特別メッセージを寄せた。

「コンニチハ!米野球殿堂博物館館長のジョシュ・ラウウィッチです。フルカウントをフォローしている日本の皆様、いつも野球という素晴らしいスポーツに注目してくださり、とても感謝しております。来年は(7月から)『野球とベースボール:太平洋を越えた日米の野球交流』と題した企画展開催と、イチロー・スズキが殿堂入り資格を得る最初の年でもあります。皆さんにとってビッグイヤーになりますね。ここ、クーパーズタウンでお会いできるのを楽しみにしております!」

 イチローの名前がアメリカ野球殿堂入りの投票用紙に初めて記載される年に始まるこの企画展では、野球がアメリカと日本が外交関係を樹立してから50年も経たないうちに、日本で最も人気を博すスポーツとなったことにまつわるストーリーや、それに関連する貴重な展示品が公開される。

イチロー氏が7度来館している殿堂博物館【写真:木崎英夫】
イチロー氏が7度来館している殿堂博物館【写真:木崎英夫】

野球殿堂博物館に7度来館…イチロー氏は「野球の歴史をとてもリスペクト」

 日増しに寒さが増すクーパーズタウンでは、連日、博物館のスタッフたちがミーティングを重ねている。来年1月から、同館の3階では大企画展の工事が始まり大幅改装となる。ラウウィッチ館長は「まだイチローの殿堂入りが決まったわけではありませんが」と前置きして、続けた。

「彼の集中力や彼がどれくらい野球を愛しているか、野球を大切に思っているか、と人々は話題にしますが、これらはベースボールの歴史において、とても重要なことです。それをMLBにもたらしたのは、彼なのですから。野球の歴史をとてもリスペクトし、我々が大切に保管する品々がベースボールの歴史を伝えることの助けになることを彼は十分に分かってくれているんです」

 同館長によると、イチロー氏は現役時代からこれまでに7度もクーパーズタウンを訪れ、偉大な先人たちの息吹に触れ、野球の歴史に深い敬意を抱いているという。

 イチロー氏はMLB通算3089安打、日米通算4367安打を記録。マリナーズ移籍後、10年連続で200安打以上を放ち、2004年には史上最多となるシーズン262安打もマークするなど、メジャー屈指の安打製造機として人気を集めた。

 米野球殿堂入りへは、メジャーで10年以上プレーした選手が現役引退後5年で候補者の資格を得ることができる。殿堂入りには全米野球記者協会(BBWAA)に10年以上在籍する記者の投票で75%以上の支持を集めることが条件となる。日本人ではこれまで、野茂英雄、松井秀喜の両氏が資格を得たが、殿堂入りはならなかった。

 投票は12月31日(同1月1日)までに行われ、結果は来年1月21日(同22日)に発表され、7月27日(同28日)に殿堂入りセレモニーが行われる予定となっている。

○著者プロフィール
木崎英夫(きざき・ひでお)
1983年早大卒。1995年の野茂英雄の大リーグデビューから取材を続ける在米スポーツジャーナリスト。日刊スポーツや通信社の通信員を務め、2019年からFull-Countの現地記者として活動中。日本では電波媒体で11年間活動。その実績を生かし、2004年には年間最多安打記録を更新したイチローの偉業達成の瞬間を現地・シアトルからニッポン放送でライブ実況を果たす。元メジャーリーガーの大塚晶則氏の半生を描いた『約束のマウンド』(双葉社)では企画・構成を担当。東海大相模高野球部OB。シアトル在住。

(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

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